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小瓶 5 ページ21

「明日まで…持つかな?」


そう心配する君に

俺は笑った…




裕「大丈夫…いつもの公園なら…」






裕「まだ、八重桜が満開だよ…」







毎年、二人で訪れた公園

小高い丘には、数十種類の桜が咲く




君の好きな

白い八重桜は…まだ、今が満開…







「ほんと?」






裕「ん、今日…下見して来た…笑」







花が無くて

君に寂しい思いをさせるのが、怖くて…

下見しといたよ…







「裕太…」





「ありがと…」






「じゃ…お弁当頑張らなきゃね…」






「えと…リクエストは…」














裕「卵焼き、ウインナー、サラダ…それから…」





「筑前煮…笑」





あの日に

巻き戻ったようだった…





君の身体の異変に気づく前の

あの日に…







二人…

このままずっと…幸せでいられると

思っていた頃に。























Aの病いの事を聞いた日

俺は…目の前が真っ暗になった…




誰よりも好きで

誰よりも大切なAが、

あと少しで居なくなってしまう、なんて


最初は

そんな事信じられなかった







嘘だと、

何かの間違いだと思おうとした






でも…





そんな俺を

君は…現実へと引き戻した







「全部が…お母さんの時と一緒…」

悲しそうに、君は笑った





「どうして、もっと早く気づかなかったのかな…」

って…








君の方が…

ちゃんと、現実を受け入れてた…




それでも、君は…







取り乱す事も…


暴言を吐く事も…


自暴自棄になる事もなく…




ずっと…

今までの…Aだった






美人で…優しい…

俺の自慢の彼女…









裕「うまっ!」




まばらになった花見客…



君が大好きな八重桜の下のベンチで

広げたランチボックス








裕「これ、すげーうまい!」



今までで一番、そう言おうとして

口を噤んだ







裕「これも!」






裕「こっちも!」




何かを考えたら…

泣き出しそうなのは…いつも、俺だった









あの桜の下の家族連れは

俺たちを見て…どう思ってるのかな?



幸せなカップルだと思ってるのかな?





俺たちには…

もう二度と一緒の花見はないのに…









この筑前煮

あと何回食べられるのかな?






来年も

きっとこの桜は咲くだろう…




でも

その時、俺達は…って…







…ッ…





弱い俺

強くならなきゃいけないのに…




君を支えなきゃいけないのに…

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設定タグ:キスマイ , 玉森、北山 , 藤ヶ谷   
作品ジャンル:恋愛
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作者名:トウコ | 作成日時:2018年1月1日 18時

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