小瓶 4 ページ20
「そ…か…」
君は、一度白いシーツに落とした視線を
また、窓の外に向けた
「あと…どれくらい?」
真っ直ぐ見つめた瞳は
微動だにせず、外を見たままだけど
俺に逃げる猶予は与えない…
「あと…どれくらい…」
「私は…」
「私で…いられるの?」
その言葉は
同じ病で、早くに母親を亡くしたAらしい
言葉だった
"私…らしく"
前に聞いた事がある…
付き合い初めてすぐの頃…
同じ病で
Aが、高校生の時に亡くなったお母さんの話
…
…
母親を、妻を失いたくない…
そんなAの父親の思いから
何故それをしなければいけないのかも
わからないまま
来る日も来る日も
ありとあらゆる治療と検査の連続で
お母さんは
病で苦しんでいるのか…
治療で苦しんでいるのか…分からなかった、って。
美人だったお母さんは、
綺麗な髪を失い、苦しみで顔を歪め…
優しかったお母さんは、
誰かれ構わず、暴言を吐き…
最後には
全ての思考が停止し、
それでも…最後は静かに泣いていた…って。
「可哀想そうだった…」
そう言って、君は泣いてたね…
…
…
だから…
君は…
「裕太…」
そう…だよね…
「お願いがあるの…」
君は、俺に願いを託した
あの時、
自分の母親の時、叶わなかった願いを…
「私…うちに帰りたい…」
「裕太と一緒に…」
「自分らしく…生きたいの…」
その時
君は初めて俺を見た…
その瞳は
俺を信じてくれてる瞳だった
そして
俺も…君が、俺を信じてくれた事が
凄く嬉しかった
「いい?」
ここで
ありとあらゆる治療を受けるより
あの二人で暮らした部屋の方が
君が、君らしくいられるのなら…
例え、それが…ここにいるより、
ずっとずっと辛く苦しくても…
俺は、構わない…
「裕太?」
…
…
…
裕「一緒に、帰ろう…家に…」
裕「二人の家に…」
…
…
…
「あり…がと…」
ふわっと微笑んだ君は、その時
ここに来て初めて泣いた…
裕「ずっと一緒…」
裕「何があっても…って…」
裕「そう言ったろ?」
そう…俺達は離れる事なんてないんだ
永遠に…
ずっとずっと…一緒だよ?
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作者名:トウコ | 作成日時:2018年1月1日 18時