小瓶 6 ページ22
花見の夜
俺達は、いつものように洗い物を終えると
お気に入りのソファーに二人並んで座った
「裕太…」
裕「ん?」
「私は…大丈夫だよ…」
…?
「もう、十分…幸せだった…」
…!?
「裕太がいてくれて…
裕太と沢山の時を過ごせて…もう十分、幸せ…」
「もし、明日…」
裕「A!?」
縁起でもない事、言わないで…
俺は
まだ十分じゃない…
もっともっとAと、一緒にいたい…
色んな物見て…色んなトコ行って…
沢山、思い出を作りたい
君を…支えたいんだ、最後の時まで…
「時間じゃないと思うの…」
…?
「時間の長さじゃ…」
「互いを想い合う気持ちさえ…満たされれば」
「それで…十分…」
「十分に…幸せ…」
「今日だって…あの八重桜を見れたんだよ…
二人で…」
「お弁当も食べて…本当に、幸せだった…」
…
…
…
「だから…本当は…」
「もう、裕太を解放してあげなきゃいけないの」
少し首を傾げて
俺を見上げる…
その時見える君の小さな耳たぶ…
いつも、このソファに座ると
その仕草が大好きだった…
大好きなAの仕草と共に
君が言った言葉
「裕太を…自由にしてあげたいの…」
裕「それ、どういう意味?」
裕「どういうつもりだよ?」
「私は…大丈夫だから…」
「もう…一人になりたいの…」
裕「?」
裕「何、言ってんだよ、ずっと一緒って言ったろ?」
裕「その為に、病院にいるのやめたんだろ?」
裕「一緒に生きていくために…」
裕「Aが…Aらしく生きていくためにッ!」
…
…
…
「私…らしく?」
裕「そうAらしく…」
「でも、今の私は…ただ…わがままなだけ…」
…?
「自分が、お母さんみたいになりたくなくて
裕太に甘えてるだけ…」
裕「何で、どこが?」
「辛いの…」
「自然に振る舞おうとしてる裕太を見るのが…」
「私を支えようとしてる裕太を見るのが辛いの…」
「私のせいで…」
「私のわがままのせいで…ッ…」
何で…君が泣くの?
辛いのは君の方なのに…
悲しいのは君だろ?
それなのに、どうして…
どうして君は…
俺の為に泣くの?
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作者名:トウコ | 作成日時:2018年1月1日 18時