いつでも味方だよ ページ38
正面にやってきた彼は傷ついた子犬のような目をしていた。
そのまま逸らされてしまったので今度は逸らされまいと、両手でほっぺたをはさむ。
「ほんっと、馬鹿だなあスティングは。
あなたにだってレクターやローグ、フロッシュたち仲間がいるでしょう？
今一緒に出場している剣咬の人たちは仲間じゃないの？」
そう言うと彼はまた俯いた。
「仲間なんて、くだらねぇよ。
いつだって強い奴がだけが、生き残る。
力のあるやつだけが認められる。
弱いやつはいつも何もできない。
あの時の俺のみたいに…」
俯いたまま話す彼の声はとても弱々しかった。
あの時とは恐らく私の運命に彼を巻き込んでしまった時の事だろう。
(それは違うよ、スティング)
そんな彼を見て、どうしようもなく泣きたい気持ちを抑えて
もう一度ぐいっと顔を持ち上げ今度はこつんと額を合わせた。
そう、スティングと再会した時にやられたように。
今までも何度もそうしてきたように。
(仕返しだ、馬鹿。)
そうして目線を同じにすると、今度はその真っ青な綺麗な瞳は驚きに揺れた。
「あのねぇ、あなたが仲間に対してどんな感情を抱こうが好きにしていいと思う。
でもね、あなたを信じて付いてきてくれる人たちはどんな気持ちになるとう思う？
少なくとも私は悲しい。
頼ってもらえないんだ、自分は無力なんだ。
側にいちゃいけないんだ。
…私ならそう思ってすごく寂しいよ。
それから、あの時のことは私が悪いの。
私があなたを巻き込んだ。」
今、自分はどんな顔をしているんだろうか、わからない。
でもスティングが私の目元に手を滑らせるからきっと泣きそうな顔をしているんだろう。
「ごめん」
ポツリと呟くスティング。
そしてまた、目線が下がる。
「もー、スティングは本当にしょうがないんだから」
そう言って両膝を地面につけて、座っているスティングより少し高い位置に身体を動かす。
そして、彼の頭を抱きしめやる。
「…A？？」
驚いた彼を無視して続ける。
「私はギルドが違ってもいつでもあなたの味方だし、あなたを想っているよ。
助けが必要な時はどんな時でも駆けつける。
だから、1人で全部抱えて遠くに行かないで？
両手が塞がってたら転んじゃうよ？」
そう言うと、スティングは抱きしめられたまま腰に腕を回して抱きしめ返してくれた。
「少しだけ。もう少しだけこうさせて。」
返事の代わりに頭をそっと撫でてやった。
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秘穏(プロフ) - とても面白いです！スティングの心情がなんか可愛らしくて、ついつい見守っている気分になります笑 あと隠密の回ですが、ラミアスケールだけ片仮名でしたが、漢字だと、「蛇姫の鱗」と書きます。 (2019年9月23日 11時) (
レス) id: 3c447ef1a9 (このIDを非表示/違反報告)
Da.Li(プロフ) - 大好きです。また更新してほしいです…気長に待ってます！ (2018年12月20日 19時) (レス) id: 9339fc5d80 (このIDを非表示/違反報告)
ZIN - 更新されてる!!楽しみに待ってます!! (2018年6月3日 21時) (レス) id: af655f0d36 (このIDを非表示/違反報告)
Pinky* - すっごいおもしろいです！！これからも頑張って下さい(*^O^*) (2018年1月15日 17時) (レス) id: e284ecfae9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - あんずさん» わあああ(T_T)最近更新が滞っていたのですがそんなコメントいただけてとても嬉しいです（；＿；）プライベートが落ち着いたらまた更新しますのでもう少しお待ちください(T_T) (2015年12月31日 19時) (レス) id: 6c22e6ae36 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーちゃん | 作成日時：2015年8月28日 8時
