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未だ闇の中 ページ11

ダラダラと嫌な汗が頬を伝う。

((A!大丈夫。あなたは大丈夫。

もう、あの時とは違うのよ。

あなたも強くなった。

それに今度は私と菊一文字が必ず止めてみせる。

だから安心して。

あなたは1人じゃないわ。))

天羽々斬の声に落ち着きを取り戻していく。

((菊一文字、Aが自分で闘ってくれないからと言って))

((ああ、わかってる。悪い。

今のは俺が悪かった。

でも決しておまえを苦しめたくて言ったんじゃねぇんだよ......))

天羽々斬の声にかぶせるように呟く菊一文字の声が少し悲しそうに響く。

((なあA、やっぱりあの時の記憶、俺が封じるか?))

菊一文字の弱々しい声に漸く冷静さを取り戻し、告げる。

(いいの。これは、私が私自身を縛る鎖。

私が忘れることは許されない。

そして、簡単に死ぬことも。

生きて生きて生き抜く、それが私の償い。

私はこれを背負って生きていくと決めたから。

この呪われた運命を背負った私を誰も愛さないし私自身も誰かを愛してはいけない。)

((A.......))

まっすぐに前だけを見つめ呟く私に2人が寂しそうに名前を呼ぶ。

(さっ、ちょっとしんみりしちゃったけど気を取り直して行こうか!)

Aがそこまで背負う必要はない。

年相応に笑って年相応に泣いていい。

恋だってしていい。

そう、言ってやりたかったが2人はその言葉を

Aにかけてやることはできなかった。

あまりにも儚く笑うから。

今にも消えてなくなってしまうんじゃないかってくらい、儚く。

[誰か、この子を繋ぎ止めて。

この子の闇を払って。

私たちにはきっと永久に繋ぎ止めて置くことはできない。]

昔、1人だけいた。

一筋の白い光のような少年が。

その時はまだとても頼りなく、弱々しいものだった。

だけど、別れ際、彼は言ったんだ。

『いつか必ず強くなって護るから』

そう放ったその少年が今どこで何をしているかなんてわからない。

もうAのことなんて忘れてしまっているかもしれない。

だって、彼に出会って別れたのはもう8年も前のことだから。

[ああ、けど、けどもし、まだあなたがあの子を

覚えて居てくれたというなら、どうかAを助けて。

どうかあの子を闇から引き上げて。]

天羽々斬は1人、そう思うのだった______

花咲く都・クロッカス→←2人がいるから



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秘穏(プロフ) - とても面白いです!スティングの心情がなんか可愛らしくて、ついつい見守っている気分になります笑 あと隠密の回ですが、ラミアスケールだけ片仮名でしたが、漢字だと、「蛇姫の鱗」と書きます。 (2019年9月23日 11時) (レス) id: 3c447ef1a9 (このIDを非表示/違反報告)
Da.Li(プロフ) - 大好きです。また更新してほしいです…気長に待ってます! (2018年12月20日 19時) (レス) id: 9339fc5d80 (このIDを非表示/違反報告)
ZIN - 更新されてる!!楽しみに待ってます!! (2018年6月3日 21時) (レス) id: af655f0d36 (このIDを非表示/違反報告)
Pinky* - すっごいおもしろいです!!これからも頑張って下さい(*^O^*) (2018年1月15日 17時) (レス) id: e284ecfae9 (このIDを非表示/違反報告)
あーちゃん(プロフ) - あんずさん» わあああ(T_T)最近更新が滞っていたのですがそんなコメントいただけてとても嬉しいです(;_;)プライベートが落ち着いたらまた更新しますのでもう少しお待ちください(T_T) (2015年12月31日 19時) (レス) id: 6c22e6ae36 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あーちゃん | 作成日時:2015年8月28日 8時

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