006 それは棘になる。 ページ6
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静かな廊下に2人分の靴音が響く。
｢……良かったのか?セナにあんな事言って｣
ぽつりとレオが静寂を破る。
レオは真剣な表情をして真っ直ぐ私を見ていた。
……レオのそういう所、あの頃と全く変わってないよね。
凛月もレオも優し過ぎる。
だからどれだけ自分が傷付いても
それに気付かない。
……瀬名だって、そうだ。
少しだけ眉の下がった、心配そうなレオの目を私も真っ直ぐ見返す。
｢良いの、
瀬名もあんずちゃんも幸せでいて欲しいから｣
力強く頷いて笑ってみるけれど、
レオは目を細めて私を見た。
こういう時のレオに嘘は付けない。
だけど、こういう時のレオは私の踏み込まれたくない領域に敏感だ。
だから。
｢……そ、なら良いけど
……セナもAも、もっと素直になれよ｣
それだけを言い残して、気付いたら辿り着いていたレッスン室の扉をレオは押し開く。
中にはもう嵐くんと司くんが居て、ストレッチを始めていた。
私はレオの言葉を上手く飲み込めないままぼんやりとその様子を眺めていた。
嵐くんも司くんも私に気付いて挨拶をするけれど、
その様子は何処かぎこちなくて、
それも全部瀬名とあんずちゃんの事で気を使ってくれているんだろうと思う。
嵐ちゃんは努めていつも通り、明るく振舞ってくれるけれど、
司くんはこういう時の対処に慣れていないんだろうな、
いつもの笑顔は苦笑いになっていた。
Knightsは皆いい子だと思う。
本当は優しい良い子達だと思う。
だから時々、その優しさが私の心に棘を生んでいく。
誰も悪くないのに。
その結果を生み出したのは私なのに。
引き金を引く決心をしたのは私なのに。
その後凛月も遅れながら来て、ストレッチも終え、前半のメニューをこなし休憩へと入る。
瀬名はレッスン室に顔を出さなかったけれど
誰もその事を口に出しはしなかった。
瀬名は今日レッスンに来ないだろうと私は何となく分かっていたから。
廊下ですれ違った時にそう何処かで感じてしまったから、
別に悲しいとか寂しいとか、そう言った気持ちにはならなかった。
ただ、真面目な司くんは何か言いたげな表情をしていたけれど。
｢ねぇ、Aちゃん｣
休憩していた嵐ちゃんが突然、私の方に近付いてそう声を掛けてきた。
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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (
レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです！このお話と出会えて良かった！続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えはら | 作成日時：2016年12月7日 19時
