005 冷たい温度。 ページ5
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俺の目の前で仲良さそうに会話を続ける王さまとA。
あんずが隣に居るにも関わらず、
どうしても苛つく内心を抑えきれない。
そんな時、Aが再び口を開いた。
｢そういえばレオ、どうして私の所に楽譜を持ってきたの?｣
王さまはAにくっついてじゃれ合ったまま笑顔で答えた。
｢次の新しい衣装考えなきゃだろ?
その時に参考になるかと思って!｣
しかし、Aの顔は浮かないままだった。
その理由はきっと……
｢それはありがたいんだけど……
うーん、私楽譜読めないしなぁ｣
やっぱり、そうだった。
｢あ、あの!私も手伝います!｣
ふと、隣から声が上がる。
その努力家な所があんずの良い点でもあった。
だけど、Aはふるふると直ぐに首を振る。
｢ううん、大丈夫だよ。
あんずちゃんは私の代わりにレッスンの方お願いしたいから｣
にっこりと花の様に微笑むAの顔を見ていられなくて、
反射的に顔を逸らしてしまった。
……Aもよくあんずに笑いかけられるよね。
俺の彼女になった事、広まった噂で聞いている筈。
くまくんにも直接聞かれたし、多分Aに伝えただろう。
それとも、Aにとって俺の事はもう吹っ切れた、とか?
俺が偉そうに言える事じゃ無いってのは分かってるんだけど
正直ちょっと、いや、かなり辛い。
1人、目の前で仲良く繰り広げられる3人の会話に加わる事も出来ず、
廊下から見える窓の外の景色をぼんやりと眺めるフリをする。
｢そうだ、それと……｣
突然、会話を途切れさせる様に発せられたAの声に視線がつい戻ってしまう。
その時、久しぶりにAと視線が交わった。
真っ直ぐ芯のある瞳が俺を捕らえて離さない。
その目が堪らなく恐ろしくなった。
心の奥で俺を憎んでるんじゃないか、
そう思うと逸らしたくなるのに、どうしてか視線はAに釘付けになったままだった。
｢瀬名とあんずちゃん、付き合ってるんだって?
おめでとう!お幸せにね｣
｢――っ!｣
優しく微笑む顔でそれだけ言い残してAと王さまは背を向けてレッスン室へと歩いて行く。
止めてよ、そんな優しい目で俺を見るのは。
言葉を紡ぐ事すら出来ず、俺はただ幸せそうに笑うあんずの隣で呆然と立ち竦むしか出来なかった。
急激に周りの温度が冷たく感じて、
息苦しかった。
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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (
レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです！このお話と出会えて良かった！続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：えはら | 作成日時：2016年12月7日 19時
