004 消せないものは。 ページ4
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今更後悔したって仕方ない事を何度も何度も悔やんでいる。
傷付けたのは俺なのに、
まるで許されたいかの様に毎日同じ夢を見る。
隣にいるのはもうアイツじゃないのに。
放課後の廊下をあんずと他愛も無い話をしながら歩く。
あんずは良い彼女だと思う。
優しい笑顔で話を聞いてくれるし、
隣に居ると何時だって心が温かく感じる。
……幸せな筈なのに。
ふと、廊下の先に誰かが居るのに気付く。
視線の先に映る人を見て、
急激にこの空間だけが冷たく感じた。
……Aだ。
同じクラスだし毎日会っている筈なのに、
心臓の奥の方がきゅっと縮むのを感じた。
Aは俺と目を合わせることも無く、
他人の様に隣を通り過ぎようとする。
……当たり前、だよねぇ。
今更俺と何を話すことがあるの。
手放したのは俺なのに
何を変に期待抱いてるんだろう。
そう、自分を納得させてみるけれど、
目はどうしてもAを追ってしまう。
「ねぇ……」
「A」、
そう言おうと無意識に口を開いた俺の声に
聞き慣れた声が被さり、
Aに勢い良く抱き着こうとする人が居た。
「A〜!見てくれ!
新しい曲が出来たぞ!最高傑作だ!
やっぱりおれは天才だ〜!わはははは☆」
……相変わらず空気が読めない、バカ殿だ。
ぎゅうぎゅうと無理矢理Aに抱き着こうとするから
折角の『最高傑作』だと言う楽譜もぐしゃぐしゃに皺が寄って
足元にひらひらと殴り書きされた紙が落ちていく。
「ちょ、レオ、楽譜が……!」
大きな犬みたいにじゃれつく王さまをどうにか剥がそうとAは奮闘するけれど、
女の力じゃ男に勝てる筈もなく、Aは諦めてされるがままになっていた。
……何か、ムカつく。
イラッと湧き上がる腹立たしさにはっとする。
……俺がそういう事言える立場じゃない、か。
先程まで何も映し出さなかったAの瞳に
今は王さまが映る。
それがやっぱり嫌で、
俺の事はもう映してくれない癖に、
そんな風な未練がましい気持ちが消えてくれない。
Aを笑顔にさせられるのは
もう俺じゃ無い、って事なんだよねぇ……。
変わってしまった、変えてしまったこの関係が、
俺を苦しめる。
だけどそれも全部俺の罪だ。
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とまと。(プロフ) - はるなさん» そう言って頂ける方と出会う事が出来、感無量です…!私には勿体無い言葉の数々を有難うございます、最後までお付き合いして頂けると嬉しいです。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» そんな嬉しい言葉を掛けて頂いたのは初めてです…!最後まで感動して頂けるように頑張ります。 (2017年5月9日 22時) (レス) id: 5b7907730c (このIDを非表示/違反報告)
はるな(プロフ) - この物語、本当に好きです!このお話と出会えて良かった!続き楽しみにしています。頑張ってください!! (2017年5月8日 23時) (レス) id: 651f5172c0 (このIDを非表示/違反報告)
聖泉 - とまと。さん» 感動しました。このお話を読んでいてよかったです(^^) (2017年5月7日 23時) (レス) id: b0c24886c2 (このIDを非表示/違反報告)
とまと。(プロフ) - 聖泉さん» まだまだ完結まで時間の掛かる2人ですがゆっくり温かい目で見てあげてください…!応援有難うございます(*^^*) (2017年4月15日 14時) (レス) id: efe978ed57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:えはら | 作成日時:2016年12月7日 19時