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 真っ赤だった世界が打って変わり、闇だけが少女を包んだ。

 上も下も分からない。空気の流れも感じない。不安だけが少女の中に残り、心臓を突き破りそうなほどに膨らんでいく。

 暗闇の中、必死に叫ぶ。足を動かして、声が枯れるまで叫んで。それでも闇の晴れない世界が、少女に残酷な現実を見せつけた。ただ、淡々と。

 彼女が死んだという事実を。


 ――帰してください。


 少女は口を開いた。しかし、限界を超えた彼女の喉では、まともな声も出せない。

 やがて、座り込んだ少女の前に、一筋の光が現れた。光が照らすのは、一つの扉。

 一縷の望みにかけ、鉛のように重くなった足を引きずり、少女は扉を開いた。


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設定タグ:黒バス , きさらぎ駅 , 今吉翔一   
作品ジャンル:ホラー
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作者名:幸月 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2017年8月12日 23時

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