星に願いを (ページ17)

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ふたりの話ページ17

病室の前のドアの影から俺は立ち止まって2人の会話に耳を傾けた。

〈ミツは今診察室で先生の話を聞いてるよ〉

｢そっか、ごめんね、藤ヶ谷くん。びっくりしたでしょ？笑｣

〈そりゃあびっくりしたよ笑飯食ってる時までは元気だったからさ〉

｢ううん、本当になんともなかったんだけど、最近急に頭が痛くなったり体が痛くなったりして、苦しくなることがあるんだよね…｣

〈それ、ちゃんとアイツに言ってる？〉

｢……笑｣

〈ちゃんと言った方がいいんじゃない？〉

｢分かってはいるんだけど、これからこういうことが増えていって、心配とかガッカリとかさせたくなくて…｣

〈ガッカリ？〉

｢私と出会ったことも、結婚したことも、後悔してたらどうしようって、｣

｢本当はね、毎日家事をして仕事して、子育てとか喧嘩とかいーっぱい繰り返しながらおばあちゃんになっていくって思ってた｣

〈A…〉

｢けど、そんな普通な暮らしもずっとは続かないし、これからもっと面倒なことが増えちゃうと思う、だからっ、だから、泣｣

病室の中でAは泣いている。

藤ヶ谷を目の前に涙をボロボロ流している。

Aが我慢していたこと、俺には吐き出させてやれてなかった。

こんなにも苦しんでいたこと、分かってやれてなかったんだ。

〈もういいよ、我慢しないで。俺に言ってくれてもいいし、アイツに言っても、てかむしろ、ミツにも言った方がいいんじゃないかな。〉

｢…そうだよね、ごめんね。こんな話まで笑｣

〈いや、全然いいよ。まぁもうそろそろアイツ来ると思うから俺出るわ笑〉

｢うん、いろいろありがとう笑｣

〈ん、じゃあな笑〉

Aにこう言って藤ヶ谷が病室の外に出てきた。

〈あれっ？お前、〉

『ん。全部聞いてた』

〈そっか。1回2人でちゃんと話した方がいいだろ？笑〉

『そうするわ笑ありがとな、藤ヶ谷』

〈おう笑〉