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「…おい、…なんであんたがここにいる…!」
目の前で固まって動かない加州より先に後ろにいた山姥切国広が切羽詰まる勢いで私の両肩を掴んできた。

「ちょっ!?山姥切?」

「あの日を忘れたのか?
あんたは政府に殺されかけたんだぞ…っ!こんな所で油を売っている場合じゃないだろう!」

今までに見たことないほどに心配した顔だった。
いつもの無表情で捻くれ者とは大違いなぐらいの血相。

「約束したじゃない。私は殴ったぶんだけの謝罪を、あの本丸に泊めてくれたお礼を…私は貴方達と約束を交わした。一度交わした約束は必ず果たす。

それが礼儀ってものでしょう?」

「あんたは馬鹿なのか。」

「ええ馬鹿よ。約束を守れるなら馬鹿でいい。」

「…っ。」


緊迫となる雰囲気から、なんと三日月が助け舟を出してくれた。

「知りあいなのか?」

「はい!まえに、ぼくたちのほんまるにきてあそんでくれました!すっごくたのしかったんですよ。」
三日月に今剣がはしゃいであの時のことを説明した。

その二人の会話に山姥切の圧が少し弱まった。






「山姥切、そこら辺にしとけ。」

「…。」

「なにはともあれ元気そうでなりよりだ。あの後皆あんたのこと心配してたんだぜ?

…山姥切は特にな。」
和泉守のその言葉で恥ずかしいのかほんのり彼の顔が赤く見えた。
「へぇ?」

「…別に心配してない」
にやにやしながら彼を見ればさっと手を離してフードを掴んで顔を隠すと、奥の方へ逃げていった。

…追い打ちは良くないな


「でも、髪型や服が変わって全然分かりませんでした。霊力もあの時と少し違いますね。
…前よりもすごく心地いいです。何かやったんですか?」

堀川のその言葉を待っていましたとばかりに、自信満々で威張った。
「ふふ、どうよ!政府の公式マニュアルを片っ端から見まくって実践した成果!

一応顔を隠す程度で大丈夫でしょうけど、ここで働く以上あの審神者にバレると困るし、面倒だしね。ちょっとやってみたの。」

「働くって…?」
掘川が戸惑いの顔を見せた。

「ここで働いているの。受付員としてね。
今日貴方達に会いに来たのも約束はちゃんと果たすってことを伝えたかったからで……加州、大丈夫?」
ずっと目の前で固まっている。

「加州〜?」
いくら声を掛けても応答しない。

「おい、あんた。加州から離れていた方が身のためだぞ。」

「兼さんと同じく。たぶん…。」

「え?」
そう二人組が忠告してくれた時には遅かった。

玖→←漆



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作者名:沙恵燬 | 作成日時:2019年2月1日 1時

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