譲れない ページ32
ー翌日ー
凛月「やっと帰れるぅ〜。やった〜。」
嵐 「疲れてるわねぇ。
あら？どこ見てるのかしら？」
凛月「…なんでもない。」
…やっぱりAはま〜くんには渡せない。
あいつが傷つく。
ほら、今だって、
あんずと、仲よさげに話してるじゃん。
頭なんか撫でちゃってさ。
それを見て、Aはどんな気持ちになるのか、考えたことあるのかな。
あの子案外嫉妬深いんだよ。
俺も一緒だけど。
ま〜くんだけじゃなくて、俺のことでも嫉妬するようなやつだよ？
他の子といるだけで、
何もしなくたって勘違いするようなやつだよ？
ま〜くん、本当にあいつのこと分かってるの？
繊細だから、優しいから、傷つきやすいからって言ってるけど、
傷つけてるのは誰？
ま〜くんは大事な幼馴染み。
信頼してるし大好きなのには変わりないよ。
だけど、こればかりは納得いかない。
俺よりも軽い気持ちの男に、Aは渡せない。
俺よりも気持ちが勝るくらいの勢いじゃないと、
無理だよ。
俺は本気なの。
たとえ大好きなま〜くんでも、
やっぱり譲れない…。
〜真緒視点〜
真緒「お前は本当によく頑張ってるよ。」
あんず「ありがとう。」
あんずが疲れた顔してたから、頭をポンポンと撫でる。
真緒「ん？顔赤くないか？」
あんず「ううん！なんでもない！」
真緒「そっか。…あ、ごめん！ちょっと電話なってるから。」
俺はあんずと別れて画面を見る。
真緒「…も、もしもし。」
A『あ、真緒？久しぶり！
楽しんでる？』
マジで久しぶりの会話に感じる。
久しぶりも何も、4日前には会って話してんだけどな。
今まで毎日会ってたから、Aと会えない日が長く続いてる感じがする。
…声を聞くだけで心臓がバクバクする。
俺って相当重症だな…。
真緒「…ああ。凛月もいるし、ちょっと大変なんだけどな。」
A『…そっか…。』
真緒「で？何かあったか？」
A『…実はね…。凛月の機嫌を悪くしたみたいで…。』
真緒「…は？」
真緒「なるほどな…。」
凛月に内緒で友達と飲食店にって、しかも夢ノ咲アイドル科の1年男子とって…。
凛月じゃなくて俺でもムカつく…。
俺以外の男とでかけてほしくない…。
そして前々から思ってたことだけど、
凛月と同じ家で暮らしてるってのも気に食わねぇ…。
俺って独占欲やばい？
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