81 何が起こるのか？ ページ4
ウラ side…
おデブちゃんが、そしてその近くにいた乙姫様と侑斗が緑の光に包まれる。
直前におデブちゃんが言った、言葉の真意。
僕にはなんとなくわかってしまった。
「(【桜井侑斗】の記憶を、2人に見せるつもりなんだ…でもどうして？)
おデブちゃんは、何故消えることを選んだんだろう。どうせ記憶を取り戻させるなら、わざわざ消えなくてもよかったはずだ。
それとも、意思の尊重以外に何か目的が…？
そんなことを考えている間に、2人は光から解放されていった。
客観的な印象だけど、何かに気づいた…いや、思い出したような表情を2人は浮かべて、すぐにセンパイ達のいる方…つまり、カイの近くへ向かった。
「乙姫様…侑斗…ッッ！！」
2人に何か声をかけようと声を出すが、センパイとリュウタの叫びとその2人が吹き飛ばされた原因であろう爆風の余波がわずかながら僕たちの方へも届いた。
…しかし、それを諸共せずに、乙姫様と侑斗はセンパイたちのもとへ駆けていく。
その後ろ姿が、とても大きく見えたのは気のせいだろうか。とにかく今の2人の姿は、先ほどよりも頼もしく輝いているように見えた。
「……！センパイ、リュウタ！」
ふと、さっきの風にやられてしまったのか、センパイとリュウタが視界の中に飛び込んでくる。
同時に、その2人の前に、カイと真正面に向かい合って乙姫様たちが立ち塞がっているのがわかった。
2人はカイに何か訴えている様子だ。カイが第2波として強大な闇の力を蓄えている音が禍々しく、ゴゴゴと音を立てているためにうまく聞き取れないが…
とにかく、今は倒れている2人を助けよう。そう思い、2人に肩を貸した。
「っカメ、」
「カメちゃん…ごめんね」
「いいよ2人とも、大丈夫？」
「くそ、オレはまだやれ…っく」
「こーらセンパイ、満身創痍のくせに無理しないで。手助けしてる僕の身にもなってよ、扱いづらいでしょ？」
「あぁ？誰が…」
「カメちゃん、お姉ちゃんたち、大丈夫なの？」
センパイに軽く悪態をつくと、案の定減らず口が返って…が、それを遮り、リュウタが心底不安そうな顔でそう問う。
僕は、少し躊躇ったけど、苦笑して言う。
「きっと大丈夫…2人には、何か考えがあるはずだから」
その答えに、リュウタの少し不安げな顔が柔らかくなった気がした。
ふと前を向くと、いつのまにか此方へ振り向いていた乙姫様と目線が合う。
優しげな、決意めいた目をしていた。
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作者名：千夜 | 作成日時：2018年12月9日 0時
