79 やめろ ページ2
侑斗 side…
全てを「知った」…いや、「取り戻した」俺たちは、光から解放されてすぐモモとリュウタが戦闘中のカイの元へと走った。
デネブは…もうこの場のどこにも姿は見えなかった。気配もない。
が、俺には、俺たちにはやらなければならないことができた。消えてしまったデネブの為にも、絶対にだ。
すると、禍々しい力が一箇所に集中しているのを感じた。そしてその前には…相手をしているはずのモモとリュウタ。
「!!まずい、アイツら追い詰められてるぞ」
「侑斗さん!」
「あぁ分かってる、力を貸せ"乙姫"!」
俺は、乙姫の手を握る。乙姫もそれに応えて握り返した。そしてお互いに力を増幅させていく。
「待て!!!!カイ!!!!!」
「待って!!!!」
乙姫の力と、
そいつをカイが放とうとしている闇のパワーに向かって、放つ!
バチバチッッ!!!!
「っぐ、!?!なんだ、お前ら!!!!今になってなんだっていうんだよ……邪魔をするな!!!!」
「そういうわけにはいかない、俺たちはお前を止める義務がある……頼む、俺たちはお前を"敵視する気はねえ"んだ!!」
「カイ……貴方は……あぁどうして私は忘れていたのでしょう、私は貴方に!!心から"謝らなければならない"のに!!だから、話をしたいんです!!貴方と向き合う為に!!!」
「「「っ!?」」」
カイ、だけではなく倒れているモモとリュウタも驚いた表情でこちらを見てくる。
今まで散々敵意むき出しで挑んできたから妥当な反応ではある。が、もうそんな態度をお互いとっていても、"意味のない争い"でしかないんだ。
俺たちは、カイを、倒すんじゃない。
その復讐心に支配された闇から、孤独から…
「「カイ、俺/私はお前/貴方を救いたいんだ/です!!!」」
そう言い放った瞬間ーーほんの一瞬だがーー
カイが、初めて困ったような、戸惑いの表情を浮かべた……ように見えた。
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作者名:千夜 | 作成日時:2018年12月9日 0時