初恋。 (ページ3) - 小説/夢小説

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1話ページ3

彼女のことを、初めて認識したのは梟討伐戦でのことだった。負傷した鉢川准特等の治療をするために派遣されてきた医療班の中に、彼女はいた。
こういった大きな現場は初めてなのだろう、少し緊張した面持ちで現れたのを覚えている。その割には治療は的確で素早かった。それが妙に印象として残った。特別に何かを思ったわけではない。ただ、新人の割には肝が座っている。そう感じただけだ。

あ「あ、こんにちは！平子上等。」

丈「……ああ。」

いつからだろうか。彼女が俺を認識して、声をかけてくるようになったのは。

あ「今日もね、道端さんが治療室に来たんですよ！あんまり危ない仕事、回さないであげてくださいね？毎日毎日、傷ばっかりできて可哀想ですから。」

丈「あれは………いや、すまない。善処する。」

あれは、ただ道端がAに会う為にほぼわざとつけている傷なのだが、まあ彼女はあいつの気持ちには気付いてないようだし、俺からとやかく言う問題ではないだろう。

あ「平子上等も、怪我をした時には私達の所に来てくださいね？あなたは、我慢しそうで心配です。ちょっとかすり傷でもそこから菌が入って大惨事になる、なんてこともあるんですから！」

丈「……ああ、分かった。」

何故だか俺は、彼女の顔を直視できない。ついそっけない態度を取ってしまう俺を、どう思っているのだろうか。というか、何故こんなことを考えているのか。別に彼女にどう思われようといいではないか。……阿呆らしい。

「A！捜査中の佐々木班に負傷者が出たよ！現場に行くからついてきて！」

あ「あ、はーい！じゃあ、失礼しますね、平子上等。」

丈「ああ。頑張ってこい。」

俺に一つお辞儀をしてから背を向けて走り出す彼女。その背中を、見えなくなるまでボーッと見つめていた。

丈「…………何がしたいんだ、俺は。」

ハッと我に返り、自分も仕事に戻る。調子が狂う、というのだろうか。彼女を目の前にすると、途端にどうしていいかが分からなくなる。きっと、苦手な人種なのだろう。俺には彼女が、眩しすぎる。

丈「……道端。」

道端「はい？何ですか？」

丈「あまりAを困らすなよ。彼女は本気でお前を心配しているんだ。下心だけで治療室に毎日通うのはやめろ。」

道端「いやあ、まあ、彼女の善意に漬け込んでるのは分かってるんですけど、こうもしないと会えないもんで。」

お前の行動力に、俺は驚くよ。