4話 ページ5
倉元sideー
倉元「ハァー…まいった…。てか盗撮って何?マジで。」
Aにうまいこと逃げられてしまった俺は、その場に座り込んだ。
アカデミーの入学式でAと出会って、一目惚れされてから早十余年。今日まで毎日欠かさず元気に俺のストーカーをしてきた彼女。余りにもオープンなストーカーなもんで、盗撮されてることに全然気付かなかった。
倉元「あー…もう、何だかなぁ。」
普通にしてれば可愛い女の子なのに、何でストーカーなわけ?マジで普通に告白してくれれば、俺だって好きなんだから晴れて両思いのハッピーエンドになれるのに。
何なのあの子。俺の気持ちになんて1ミリも気付いていない。好きな子でもなければあんなストーカーに優しくしないっつの。……言い過ぎだけど。
でもどうしてか彼女は根っからのストーカー気質らしい。「私のベスポジは王子の恋人じゃなくてストーカー!!」と宣言されたくらいだ。てか王子って何?あえて今まで突っ込まなかったけどずっと気になってたんだよね。
ーーーけど、いつか絶対…本当の意味で俺に惚れさせる。と、意気込んではいるものの彼女の鈍感具合は筋金入りなわけで。俺、空回り中。
倉元「Aのバーカ!気付け、アホの子ー…。」
俺の気持ち、迷子だよ?早く、見つけてよね。そんな気持ちを込めて吐き出した言葉は、誰に伝わることもなく空気に溶け込んでいった。
倉元「タケさーん!お昼お待たせしましたー。」
丈「ありがとう。遅かったな。」
倉元「例のごとくAに捕まりまして。」
丈「なるほど。」
倉元「……。」
丈「……。」
倉元「……タケさん、話聞いて貰ってもいいっすか?」
丈「なんだ、また言えなかったのか?」
倉元「そーなんすよ!Aってアホでバカで鈍感じゃないっすか!?まあそこが可愛いとこでもあるんすけど、限度ってあるじゃないっすか。普通気づきません?自分で言うのもなんですけど、俺、結構わかりやすいタイプなんすよ?なんとも思ってなきゃストーカーする女の子に毎日毎日付き合ってあげるわけないじゃないっすか。俺のことすげー優しい人だと勘違いしてるみたいなんですよねー。どうしたらいいと思います?」
不満をとにかくぶちまける。こんな恥ずかしい相談が出来るのはタケさんぐらいなのだ。多少の醜態は許してほしい。
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茶凛(プロフ) - とっても面白かったです!! くらもっちゃん最高!! (2017年5月30日 6時) (レス) id: dbf487caee (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - ありがとうございます!ほぼ自己満の作品ですが、楽しんでいただけて良かったです! (2017年3月10日 8時) (レス) id: 00a43c3125 (このIDを非表示/違反報告)
fuuka2001(プロフ) - 面白かったです! (2017年3月9日 23時) (レス) id: 0e8e4fe47e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2016年12月19日 13時