28話 ページ31
あ「……小坂班長、田野ちゃん、伊坂。また、大規模な掃討戦に出ることになったよ。」
みんなのことを守ると言ったけれど、あのオークション掃討戦の光景がどうしても脳裏によぎってしまう。この1年間、努力をしてきた。死に物狂いで強くなった。彼らを守る力ぐらいはついたと思う。けど……けど。
あ「怖いよ……班長。」
私は、あの日の後悔を、あの日の無念を、未だぬぐい切れていない。自分で望んで捜査官になったんだ。仲間が死ぬかもしれないことも、自分が死ぬかもしれないことも分かっていたじゃないか。だけどあの頃の私は、それを本当の意味で理解していなかった。ずっと、ずっと…続いていくんだと思っていた。それがあの日絶たれてしまった。そのショックがあまりにも大きくて。今でも時々夢に見る。
あ「弱気になっちゃ、ダメだ。みんなを守るって決めたんだから、私がちゃんと導かないと…!」
小坂班長…。私はあなたのような立派な班長にはなれないけれど、もう二度と味わいたくないあの悲しみを、痛みを…糧に、頑張ります。だから、私に力を下さい。私を、見守っていてください。
あ「…っっ…ハァ…泣かないって、決めたのにな…。」
ーーーなんて弱い、心なんだろう。
?「やっぱり、ここにいた。」
あ「…っ!?お、王子…何で…?」
慌てて涙を拭う。こんな姿、誰にも見られたくなかったから。特に王子には。
倉元「……何でって、Aが泣いてる気がしたからだよ?」
それがさも当然のようにキョトンとした顔で応えるもんだから、急に恥ずかしくなって顔が熱くなる。
倉元「ははっ…!まあ、それはさすがに嘘なんだけどね。でもなんとなく、Aがここにいるような気がしたのは本当だよ。」
あ「そっか…。」
あの日から、あまり関わらないようにしてきた手前、少し緊張している。なぜ、今この瞬間現れるんだろう。いつも、そうなんだ。心の弱さを、誰にも気づかれないようにいつも通り明るく振舞っていても、この人はそれに気付いてしまう。そしてそういう時には決まって何も言わずに私のそばにいてくれるんだ。こんなの、ずるいでしょう?惚れない方がおかしいじゃない。
あ「………不安、なの。」
そしていつも、私は胸の内を吐露してしまうんだ。この人は、私のカッコ悪いとこ全部知ってる。そんな私の、愛しい愛しい王子様。
ーーーやっぱり私、あなたが好きだ。
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茶凛(プロフ) - とっても面白かったです!! くらもっちゃん最高!! (2017年5月30日 6時) (レス) id: dbf487caee (このIDを非表示/違反報告)
歯磨き粉(プロフ) - ありがとうございます!ほぼ自己満の作品ですが、楽しんでいただけて良かったです! (2017年3月10日 8時) (レス) id: 00a43c3125 (このIDを非表示/違反報告)
fuuka2001(プロフ) - 面白かったです! (2017年3月9日 23時) (レス) id: 0e8e4fe47e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:歯磨き粉 | 作成日時:2016年12月19日 13時