千切、猫だよ! ページ5
今日も校庭の前に女の子達が群がる。
普段なら私も負けじと割り込んでいくのだが、今日はそういうワケにもいかなかった。
なぜなら、猫を連れてきたから。
猫は散歩させる生き物ではないのだが今回はちょっとだけ連れて来た。
幸いに私は学校に家が近く、HRが終わったあとに一目散に家に帰った。
それで寝ていた黒猫ちゃんを連れて来たまでだ。周りの生徒に迷惑がかからないようにだっこして。
『……千切かっこいいな』
彼はフィールドをスプリント選手のように駆け抜ける。抜いた人達の髪の毛が彼の通ったあとにサラリと流れる。
少し長い大好きな赤紫の髪が主張をするようにキラキラなびいていく。
本当にキレイ。
*
せっかく連れてきたのに見てもらえないのはイヤ!
休憩中の千切に手を振る。
千切「あれ、かわいい……」
『でしょ!?ポチちゃん!!』
千切「ぷはっ、ポチってやっぱ面白い…!」
疲れているのにそんなのも感じさせず爽やかに彼は笑う。顔面国宝だ。
『千切はかわいいね』
千切「るせーな、嬉しくねぇっつの」
前に比べたら話してくれるようになった。最初こそとげとげしくてこの鋼メンタルも幾分か傷ついたモノである。
千切は私に「触ってもダイジョブ?」と律儀に尋ね、おそるおそる猫をなでた。
ポチちゃんや、位置を変わってください。
ちょっと猫に嫉妬した。
猫になって千切に好かれたいな!すごく!!
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作者名:ひよこ | 作成日時:2023年1月7日 10時