君が好き/snpi ページ19
貴「はぁ……」
「ん？どうしたの〜？」
私の溜め息に反応したのは自称のんけのしんぺい神。しんぺい神が好きなのは男らしい。つまり、なにが言いたいのかというと、私は恋愛対象に入ることはありえないということだ。
貴「好きな人に振り向いてもらえないの」
「そっかぁー。大変そうだねぇ。」
私の心を知ってか知らずかはわからないのだけれど、呑気にヘラヘラとした笑みを浮かべている彼を見るとこちらまで気が抜けてしまう。
貴「もう、こっちは真剣に……」
考えている、と言おうとしたら急にしんぺい神との距離が近づいて。
そのままキスでもするんじゃないかって思ってしまいそうなほどで。
心臓はばくばくと音をたてている。
「真剣に、誰のこと考えてるの？」
視線を無理矢理合わされて頬に、耳に、身体に熱が伝わっていく。
こんな風に近づかれたら、見つめられたら貴方のことしか考えられないじゃない。そう言う余裕もなくて。
けれど、またとないチャンスかもって思ったの。
貴「わ、私はね！しんぺい神のことを…っ！」
その言葉の続きは言えなかった。遮られた、のほうが正しいのだろうか。
背中に少々の痛みを感じたと思ったら、視界は反転していて。
え、と小さく声を漏らした。
「俺ねぇ、男なんだよ？」
貴「し、知ってるよ！……それで、男が好きなんでしょ？」
当たり前のことを言われた。しんぺい神が男なのは知っている。男だからこそ私は困っているから。
「そりゃあ好きだけど〜。……やっぱりおとこだからさぁ。」
ちゅ、と短いリップ音が部屋に響き渡った。その余韻のように、唇には温もりが残っていた。
口を開くも言葉がでなくて、あ、う、とか赤ん坊のような情けない声しかでない。
にやり、と口角を上げて悪戯が成功した子供のような無邪気な笑顔。吸い込まれるような瞳。
あぁ、これだから、困るんだ。
「女の子相手のほうが、ムラムラするんだよねぇ」
悪魔のような顔で言われ、胸が高鳴った。もう遅い、と覚悟を決めてそっと目を閉じた。
余裕綽々。間延びした甘い声。私は貴方の全てに魅了させられる。
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作者名：大佐 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年2月5日 15時
