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第41話 ページ7

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「あれ……?この本今まであったかな……?」

美しい菫色のハードカバー、どこか古めかしい質感。

勉強に使う本のためにエントランスの本棚はかなりの頻度で見に来ているが、この本は初めてお目にかかる。

「ちょっと見てみようかな……」

ぱらり、と1ページ目を捲る。

章タイトルは、

「パルデアの大穴……!?」

アカデミーで再三立ち入り禁止と注意されている、パルデアの大穴についての話だったのだ。

昔のものと思しき白黒写真と、日記のような文章が載っている。

「……」

次の章タイトルは「エリアゼロの冒険」。

「『パルデアの大穴の中には、エリアゼロと呼ばれる不思議な世界が広がっている』……か」

何もかもが見たことの無いものばかり、人間が生活するには適さない世界。

読み進めていくと、「エリアゼロ全体図」「エリアゼロに住むポケモン」と章が続いている。

「このスケッチは……カラミンゴにパーモット……これはジオヅムかな」

しかし、「下層部からは普段我々が聞いたこともない鳴き声が時折聞こえてくる」とある。

そして次の章は、「エリアゼロの怪物」。

「……『下に行くにつれてポケモンかどうかもわからないような小型で残酷な生物がその姿を見せ始める』……えっ、『隊員が致命傷を受け一時退却』……!?」

次のページには、偶然撮影されたというその「怪物」の写真があった。

「これは……ドンファン……に似てるけど」

しかし記録には「生物的にまったく異なる」とある。

「『まるであれは鉄の轍だ』……」

次のページを捲ろうとしたところで、「おい」と突然背後から声がした。

思わず勢いよく振り返ると、「おわっ、驚かせたか?」と声の主が後ずさっていた。

声の主は、長髪の男子生徒だった。

「あ、いえ、大丈夫……」

「そ、そうか。で、オマエが持ってるその本……」

「あっ、もしかして借りようとしてた?」

「ああ違う違う!……その本、オマエ興味あんのか?」

勘ぐるようにして問いかけてくるその男子生徒を少々不思議に思いつつ、「立ち読みするくらいには」と無難に返答する。

「ふーん……その本『バイオレットブック』って本で、パルデアの大穴に関するアレコレがたくさん載ってんだ」

「うん、少し読んだよ」

「……興味湧いても、間違っても行ったりすんなよ。あそこはヤバい」

そう言う男子生徒はどこか苦しそうでもある。

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作者名:リトルポム | 作成日時:2023年1月14日 22時

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