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「……でも、誰かしら行かなきゃいけないんだよね?」
なにを言っても納得してくれないAにしびれを切らして、伝家の宝刀を抜く。う、と言葉に詰まったAを見て、自分の予想が当たっていたことを確信した。
今までの経験でわかる。Aは結構な秘密主義。いや、必要性の感じないことに対しては全く申告しない。
学級についての手紙類は渡さないことがほとんどだ。……まあ、こっそりAの部屋から拝借してるけど。……実はそのときにまふまふグッズを追加してたりする。
いや、要点はそこじゃなくて。
「授業参観、強制参加なんでしょ? もしそうじゃなかったら、わざわざ手紙を渡しに来るわけがないじゃん」
「……別に、強制参加ってわけじゃありませんけど」
「じゃあ、なんで」
もし来なくていいんだったら、絶対にAは手紙を渡さない。
僕が来れないと言ったことにして、署名を偽装して提出するくらいのことはするはずだ。
「……間宮さんのせいですよ」
「間宮さん?」
確か学級委員長だったはず、そしてまふまふリスナーでもある。
それくらいのことはAから聞いて知っているけれど、どんな関係があるのだろうか。
「間宮さんに言われたんです。『緒方さんの保護者について知りたいから、今度の授業参観には是非参加してもらって』と」
「あー……」
「あれはもう、完全にまふさんが保護者だと確信してますよ。今まで接点作らなかったのに、直球過ぎません? 面倒くさすぎます」
大きくため息を吐くAに、少なからず同情してしまう。いや、これ僕の問題でもあるじゃん。
「間宮さんの真意は全くわかりませんけど、もし授業参観に誰も来なかったら、まふさんが私の保護者だって今度こそ大々的に確信されます」
「それ……まずいね」
この状況を回避するにはどうすればいいだろうか。
とりあえず、学校面でのAの保護者にはどんな認識があるのだろうか。Aは父子家庭だと公言している。……とりあえず対処法は見つかりそうだ。
「要するに、僕は授業参観に参加できないけど、誰かしら行かないといけないってことでしょ? もちろん男、Aの父親設定でも違和感のない人で。それなら大丈夫かも」
歌い手仲間は論外。そして、僕が頼みごとを出来る前提で条件に合う人といえば……。
「……あ、もしもし。……すみません、急に。……
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千々(プロフ) - ちょこさん» ありがとうございます!その後話も気になりますが、これ以上書き足すと蛇足になってしまいそうだったので…笑 たぶん夢主ちゃんは幸せに暮らしていると思います。想像の中でお楽しみいただけると幸いです! (2022年12月6日 19時) (レス) id: 1d9d509371 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - とてもよかったです!その後話が欲しい! (2021年10月13日 22時) (レス) @page38 id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - いちごあめさん» コメントありがとうございます! この題名は中々インパクトありますよね笑。あわああ他の作品も見ていただけるんですか、ありがとうございます! (2020年11月1日 14時) (レス) id: 4401622583 (このIDを非表示/違反報告)
いちごあめ - 完結おめでとうございます〜!!題名に釣られたんですけど目に入って本当に良かったなぁって感じてます、笑 他の作品も見させて頂きます( *´ワ`*) (2020年8月26日 21時) (レス) id: 6feff1c97c (このIDを非表示/違反報告)
千々(プロフ) - ひきねこさん» ありがとうございます! 時間があったら他の作品も読んでいただけるんですか!? めちゃくちゃ嬉しいです! 次作も一生懸命頑張らせていただきますので、どうぞよろしくお願いします! (2020年8月18日 22時) (レス) id: b78eeb1902 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:千々 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/tidierika2/
作成日時:2020年7月4日 16時