【まふまふ】屋上から飛び降りようとしたら、下の人と目があった。

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Aside



玄関前に座り込んで、新品の靴の靴紐を締める。

あー、緊張する。人人人を書いて飲み込んでも、この緊張は治まりそうにない。まあ猫ちゃんたちに癒されて、学校に足を進めることは出来そうだが。



「Aー、準備できた？ 制服着た？ 忘れ物ない？ ハンカチやティッシュも持った？」

「過保護すぎます。さすがに前日準備するくらいの注意深さはありますって」

「あー、入学式行きたかったぁ……」

「有名人なんで我慢してください」



ただいま玄関の前。

制服を着て、リュックも背負っている私は今日から中学生だ。つまり今から入学式。入学式に行きたいとかまふさんが言ってきたが、全力で拒否させていただく。

そして、まふさんは私を正式に引き取った。だから、心機一転のため！ とかなんとか理由をつけて、いつのまにかまふさんは私のことを呼び捨てで呼ぶようになった。いや、別にいいんですけどね？



「家に帰ってきたら絶対なにがあったか報告してね！？」

「だから過保護すぎますって……」

「子育てとか初めてだもん」

「子育てといっても、既に中学生ですけどね」



マンションの玄関口まで送ろうとするまふさんを止めて、扉の外に出た。いや、あなた引きこもりなんですよね、マンションのロビーまで来ないでくださいって。



＊



学校に来て思ったこと。というか入学式で思ったこと。校長先生の話めちゃ長い。ホワイトボードをステージの上に持ってきて、漢字について語るとか暇人ですか。

入学早々から眠気が抑えられない。絶対に校長先生のせいだ。


教室は一年二組。出席番号順の席に着く。そしたら担任挨拶を終えて、早速自己紹介。

あ、私の名字って“緒方”だから早めに順番が来ちゃうな。頭の中でささっと自分についてまとめて、およそ五分。



「緒方Aです。得意教科は国語や英語。苦手教科は体育ですね。趣味は読書とか。……よろしくお願いします」



黒板に書かれた要項を説明して、ぺこりと一礼。申し訳程度の拍手が鳴った。

私は人の名前を覚えるのは苦手。だから後ろの席の人。なんでそんなに私を見ているのかはわからないけど、まず名前教えて。自分から話しかけるの苦手なんだよ。

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