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遭遇 5 【百side】 ページ42

少しだけ八乙女社長の眉が上がったけど反応はそれだけ。

Aが柊雨だってことを確証しているような感じ。

…やっぱ顔知ってたら同一人物って分かるか…。

業界には柊雨のことを知っている人は山ほどいる。
それだけ雨は有名だったってこと。

それはそうとして…

「オレの妹に用って?なんでこんなとこで?…まぁ、家に来られても困りますけど。」

「名前は何だ。」

「いやいや、初対面なのに普通名前教えます?」

「うるさい!時間が無い!」

うわ、噂通りだった。

対等に、いやこっちに有利な話が出来る感じはしない。

今日のところはご機嫌取りして帰ってもらおう。
せっかくのユキの料理が冷めたら大変だし!

それ以上にこんな態度の人にAのことなんか話したくない。

…っていっても、多分これは帰ってもらえないやつだろうなぁ…。
でもここで騒ぎを起こして後からケチ付けられるのも避けたい。

何とか……

…いや、何とかなりそう。

運転席にいるマネージャーさん、慌てた感じでこっち見てるし、もしかしたら助けに来てくれるかも?
なんとか車から出て来てもらって……

「…黒瀬の件も柊雨の件も、全て知っている。」

「…え?」

溜め息をついて八乙女がそう言った。

しまった、反応しちゃった。

だけど取り繕おうとしてももう遅い。

オレの反応を予想していたのか、表情を変えずに八乙女は言葉を続ける。

「警戒しているのだろう?安心しろ、黒瀬とは縁など持っていない。
…これは私個人の要件だ。」

腕を組んだまま淡々と話す八乙女をじっと見る。

嘘は…付いてないっぽい。

"黒瀬"って言った時に少し嫌そうな顔したから、縁を持っていないというのは本当だろう。

でもまだ信用していいとも限らない。

「………知ってるって、どういうこと?」

「全て、と言っただろう。親からの虐待のこと、事務所で人形のように扱われていたこと、屋上から…」

「ちょっと、」

それ以上続けるな。

睨むと八乙女は話すのを止めたけど、フンと鼻を鳴らして睨み返してくる。

…八乙女が、"全部"知ってるのは分かった。
どうやって調べ上げたのか、知らないけど。

それでもAの前だ。

聞かせたくない。

「…要件を言おう。」

先に口を開いたのは八乙女だった。

視線がオレからずれる。
いつの間にか後ろにいたはずのAがオレの隣に立っていた。

「…君をうちの事務所に迎えたい。八乙女事務所所属のアーティストとして、歌ってみないか?」

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作品ジャンル:アニメ
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欅夏希 - とっても面白いです!感情の変化や状況などが分かりやすく、読みやすいなぁと個人的には思っています!お話を作るのは簡単ではないかもしれませんが、続きを読めるのを楽しみに待たせて頂きます。無理なさらず、頑張って下さい。 (2020年3月27日 22時) (レス) id: 94cd216a66 (このIDを非表示/違反報告)
柚木夏紗 - 面白いっ!!!!更新待ってます!!! (2020年3月18日 7時) (レス) id: 73f9f96d98 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - はじめまして いつも更新を楽しみにしています。 これからも頑張ってください^_^ (2020年3月14日 12時) (レス) id: d507af1541 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テル | 作成日時:2020年3月3日 13時

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