＃19 ページ23
指先を見つめる。最近まで胸元にぶら下がっていたリングはもうない。
死んでしまってもいいほど悲しいが、あれがないと死ぬ勇気を持てないのも事実。
そう私が、答えると、リヴァイは、考えるように目を細めると、私の目をまっすぐととらえた。
「……お前、いつ動けるようになる」
「は?……そうですね……2日後くらいには」
「わかった」
そういって頷くとリヴァイは部屋を出て行った。
質問の答えに関するコメントすらなく、いつ動けるようになるかを聞くなんて、本当に意味が分からない。
***
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿どうしてこうなったのだろうか。
今どこに居るかというと、リヴァイが現在いる兵舎である。リヴァイほどの実力ならすぐに個室を与えられるほど昇進するだろうが、それにしても、汚い。
現在は、窓、ドアを完全に開け放ち、室内を掃除しているところだ。
床の拭き掃除を免除されたのは、2日前のあれのおかげだろう。
「……窓、終わりました」
リヴァイは窓まで歩いてくると、隅々まで確認し……、ああ、指で拭って埃がないか確認している……。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿意外と……いや、ものすごく潔癖症なお方だ。
「…いいだろう。俺は奥のベッドからやる、お前はドア側のほうからベッドを掃除していけ」
「わかりました」
兵舎のベッドは二段で、梯子を上り下りするのが少しつらいところがあったが、リヴァイもそれは見ていてすぐに気が付いたらしく、大半はリヴァイがやってくれた。
雑巾を洗うために除いたバケツはベッドの掃除だけで、水が真っ黒になるほど汚れていた。
「チッ、あいつら、汚く使いやがって……。
……おい。俺は水を変えてくる、お前は掃き掃除をしていろ」
「わかりました」
隅から掃きはじめ、中央にごみを集める。中には何匹か虫の死骸が混ざっていた。
「……終わったようだな」
丁度、水汲みから戻ってきたリヴァイがドアの前に仁王立ちしていた。
そうして、ゆっくり舐めるように隅々を見て回り、満足そうな顔をする。
笑っているわけではない。しかし、何となくそう感じさせた。
「あとは俺がやる。…お前は部屋に戻って着替えてこい。
早く済ませろよ、すぐに行く」
「?…わかりました」
今の私の格好はというと、上は、団服の下にいつも来ているブラウスに、下は団服のズボンにブーツだった。
着替えろということは、ちゃんと団服を着てこいということでいいのだろうか?
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作者名：clear | 作成日時：2017年5月5日 21時
