愛され願望少々多め。【黒子のバスケ】

全部、偽物。24 ページ25

side：A






「休憩だ！」






わたしたちが入ってきたタイミングを見て、赤司くんがみんなに言い放った。



わたしはドリンクを、桃井さんがタオルを配っている。






「ど、どうぞ………。」






普通の人には平気だけど、 キセキとなると難しいな。



だってだって、あのキセキさまだよ！？



眩しいて。眩しすぎるて。



心の中で慌てても、決して顔には出したりしない。



わたしは、桃井ちゃんと一緒にキセキの元へ向かった。






「みんなっ、ドリンクだよ！！」


「ぉ、お疲れ、さまです………。」






おいこらA普段の威勢どうしたんじゃこら


知らねえよ！！！！！ という謎の心の中。




でも、不服そうな顔だが受け取ってはくれたからよかった。



心なしか、前よりも顔は穏やかだから。



赤司くんにも渡したら、紳士スマイルで「ありがとう」と笑いかけられた。



なんだこの人いい奴。






「あ、このドリンクうめえ。」


「俺も同じこと思ったっス！ 上達したっスね桃っち！！」


「そのドリンク文野さんが作ったんだよー！」


「えっ……？」






この桃井さんの何気ない言葉に二人の動きが固まった。



桃井さん！？ ここは別に自分が作ったってことにしていいんだよ！？ わざわざわたしが作ったって言わなくっても………！！！！




まあ、桃井さんが自分で作ったって言ったら、殺したくなるぐらいムカついてたかも知んないけど…。



相変わらず謎なわたしの心情だ。


だけど、二人の固まった顔が急に動いてわたしの方をみる。






「……おいしいねこれ！………えと、文野、さん？」


「ありがとー黄瀬くん！ そーそー文野！ 文野 Aだよ！ わざわざさん付けしなくていいからさ！」


「俺がさん付けしたいだけだから気にしないでよ！」






笑顔で笑いかけてきてくれた黄瀬くんに、胸がキューンとなる。



えっかわいい。




撫でたい。とても撫でたい。




だけど、間が空いてたせいかな。自分が疑いぶかいだけなのかな………。



黄瀬くんの笑顔が、偽物に見える。




みんなの呼び方が最後に「っち」の後に対し、わたしはさん付け。



「っス」という話し方に対して、わたしには普通に話すんだもん。




まあ、最初からこの話に入れるなんて、思ってないけど、この佐は以外と辛いもの。

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