愛され願望少々多め。【黒子のバスケ】

全部、偽物。12 ページ12

side：A






「Aおっはー！ どしたん今日。はやくね？」


「あー、委員会。せんせーに呼び出されちゃってさあ。」






あっ、そういえばAって、図書委員だったもんね。


そう言ってくる早苗に、まあね、と頷いた。べつに 、好きで図書委員に入ったわけではないけど。



ざっくり言ったら、内申点かな。






「あ、A、早苗。おはよ。」


「おはよー！ 今日もかわいいねー、紗夜ちゃんっ。」


「Aなにが狙い？」


「宿題見せてくださいお願いします。」






華麗なお辞儀を小夜にみせると、どうしよかっかなー、と悩んでいるふりをする。


そこでわたしは、めっちゃ興奮しているふりをして、小夜に言った。






「え、なになに焦らしプレイなの！？ いいよいいよ、最高だよ小夜ちゃん！！！」


「気持ち悪いからとりあえず死んで。」


「おっふ！ その目でもっと罵ってくれていいんだよ！？ さあかもん！」






なんだこれ。と、よくわからないのをわたしはしている。でも、これをするとみんなが笑う。


男女関係なく、「またやってんのかー」とか、「今日もレズッてんなー」とかさ。


まあほんとは、とっくに宿題なんか終わってる。






「おはよー、なにしてるの？ ふたりとも。」


「麻奈ー！ 小夜ちゃんが宿題みせてくれないよー！」


「よしよし、いい子だから自分でやろうねー？」


「ですよねー。」






いまきた麻奈に抱きつくと、頭をぽんぽんと撫でられる。これがほとんど、いつものワンパターン。



「だってAは、やればできる子でしょ？」


はいこの言葉きたー。なに、こんなこと言われて喜ぶと思ってんの？



ただ、自分が惨めになるだけだ。だってこの反対は、【 やらないとできない子 】なんでしょ？






「じゃあ、Aちゃん、がんばろーっと。」






なんて、独り言のように呟いたそのときだった。


教室のドアががらりと空いたのだ。やってきた人は、桃井ちゃん。



朝練が終わったのか、日誌らしきものを持って教室に入ってきた。



暫しの沈黙。でも、みんなは笑顔で桃井さんには挨拶をした。


わたしも、いつものように挨拶をしようと口を開きかけた。





が、思い出した。麻奈は、桃井さんが大嫌い。だからもし、昨日のことがバレたら？


桃井さんは優しいお人好し。わたしに言うかもしれない。



「昨日はありがとね！ 文野さん！ 」と。




ど、どうしよう。どうしようどうしよう！！！

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