hachiju ページ31
深夜12時、私達はマントを被って談話室を出た。
『ほんとに真っ暗』
黒黒とした草むらを歩きながら私は言った。ロンが出し抜けに話し始める。
ロ「もしかしたら、あの蜘蛛は禁じられた森の方に行っただけかもしれな…」
ロンの声は最後の望みのようだったが、段々小さくなって途切れた。
私たちがついにハグリッドの小屋の前までついたからだ。
ハリー「ファング。おいで、散歩に行くよ」
ハリーは淡々と冒険の準備をしている。
『さすが、ハリーは違うね』
ロ「君とハリーの感覚がおかしいだけだ」
『……ロン』
ロンが呻いているのを横目に、私は地面を指さした。
小さな蜘蛛が行列をつくって歩いている。
ロンは諦めたようにため息をついた。
ロ「オーケー。いいよ、行こう」
禁じられた森に足を踏み込む。
木々が鬱蒼と生い茂り、いかにも人が入るべき場所ではない、という雰囲気だ。
ク「ここに来ると嫌なことを思い出しますね」
クィリナスは私の肩の上で唸るように言った。
『あなたがここで私とハリーを襲ったの忘れてないからね』
私が悪戯っぽく笑うと、彼は自嘲気味に続けた。
ク「序にユニコーンの血を飲んで呪われたことも覚えていてください」
ロンはぎょっとした顔をした。
20分ほど蜘蛛を追っただろうか。
蜘蛛は小道を外れて、森の奥へと行き始めた。
ハリー「ハグリッドが小道は外れるなって言ってたよね」
ハリーがそう言いながら、何の躊躇もなく道を外れていく。
ロンはひっと小さな声をあげた。
『図太い神経してるよ』
私は呆れ半分で言って、どんどん先へ進むハリーを追った。
それからまた30分ほど歩いただろうか。
棘やツルに絡まって、私達の足はかすり傷だらけになっていた。
ハリー「うわっ！」
ハリーがいきなり飛び上がって私の足を踏んで、私は声を上げた。それにまたロンが悲鳴をあげる。
『なんだよ、もう！』
ハリー「ごめん、ファングだった」
ロ「ハリー！A！」
ロンが大声を出してでをぐいぐいと引っ張る。
『ファングだって言っただろ！───あ』
ロンが指さした方を見ると、今年の初めにハリーたちが乗ってきた車が、泥だらけになって佇んでいた。
ハリー「僕達の車だ！」
私達はすぐにその車に駆け寄った。
ロ「僕らずっと君を探してたんだぞ！」
ロンが優しく車をぽんぽんと叩く。その傍らで、私がまじまじと杖で照らした。
『野生化してるみたいだな…』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 826人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハリーポッター」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
黒金黒金(プロフ) - わーーーーめっちゃ面白かったです！！ (2022年5月30日 14時) (
レス) @page13 id: cd86d9f02f (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - まちなか有栖さん» うわ〜〜良かったです！笑、私もまちなかさんのコメントいっつも嬉しいです…… (2017年10月7日 16時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
まちなか有栖(プロフ) - そんなことはないですwレスが来るたびに嬉しくって嬉しくってw更新頑張ってください!!! (2017年10月5日 19時) (レス) id: 7a9cf76150 (このIDを非表示/違反報告)
ユーレイ(プロフ) - まちなか有栖さん» いや！私こそいちいち返信して迷惑かなと思ってました…笑、まちなかさんのコメントとっても嬉しいので大丈夫ですよ笑 (2017年10月5日 8時) (レス) id: 19fb53cdaa (このIDを非表示/違反報告)
まちなか有栖(プロフ) - もう感想送りすぎて迷惑じゃないかと思っているこの頃ですww更新お疲れ様です!!話したいことが気になりますね...。更新頑張ってください!! (2017年10月4日 15時) (レス) id: 7a9cf76150 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：O
| 作成日時：2017年7月20日 19時
