立花彩の弟は姉ラブを拗らせたようです。

消えた自転車 32 ページ33

「なぜその塗料が自転車についたか、答えは簡単。この2つがぶつかったからだ。この自転車は止めてあった、つまり自動車の方がぶつかったんだ。自動車が止めてあった道は自動車が通れる幅が無いに等しい。でも車は無理矢理その道を通りそこに止めてあった自転車にぶつかった。止まる時間が無かたんだろう。そのまま通ろうとして盗難防止用のチェーンが引きちぎれた」

あーそういうことか

頭の中にかかっていた霧がはれた気がした。

「この壊れ方から見て、自転車は車のバンパーの下に食い込んだんじゃないかな。そのまま走って、目立たない車の止めれる場所まで行って工具を使って外してここに捨てた。自転車の色んな箇所にそのあとがある」

自転車を引きずって走ってる時点で充分目立つと思うが、目立たない道でも通ったんだろうか
目撃者とか、居ねえのかな
居たとしても探すのが大変だし…目撃者の方はどっちにしろ無理、だろうな



「じゃあさ、犯人の家が新田町のはどうやってわかったんだ？」

俺が悩んでる横で若武が言う

「それは土だ」

つちぃ？

「ほら、タイヤの溝に泥が詰まってるだろう？」

ああ、詰まってる

「秀明の西側からここまでの道､繁華街から市街地までは舗装道路、それを過ぎてグランドの方に来ると土の道になる。でも土はこんなふうにこびりつかない。これは泥だ。ここからは小塚博士の出番」

そう言われて俺らは一斉に小塚の方に向いた
小塚はコホンと咳払いをして口を開いた

「土には色んな種類があるんだよ。とくにこの市外の地質は秀明グランドがある北部側と僕らが今居るこの野村グランドとでは変わっているんだ。数日前に雨が降っただろ？それで秀明グランドはぬかっていて使えなかった」

確かあそこの地域は水ハケ悪いよな

「これは地質のせいなんだ。あそこらへん一帯は水ハケの悪い埴壌土でできてるんだ。でも市内と南部側は水ハケの良いレキ土でできてる」

ふーん

消えた自転車 33→←消えた自転車 31

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す