【ヒプマイ】君と。【短編集】

山田一郎・碧棺左馬刻/1番になりたい。 ページ19

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合歓ちゃんプロデュースの慣れない服装と、慣れない靴のせいで準備にも移動にも手間取り、待ち合わせの時間に五分ほど遅れて到着する。

｢お、お待たせしました…｣

駅前で待っていた、イケメンオーラ丸出しの左馬刻さんに恐る恐るそう言えば、あﾞ？なんて言いながらスマホから目を離し此方を見下ろす。

｢…っ｣

｢遅れてごめんなさい…あの、怒ってます、よね？｣

私を見て、息を飲んだ左馬刻さんが眉間にシワを寄せるのが見えたので、慌てて謝る。

｢…別に、んな待ってねぇよ。とりあえず行くぞ｣

｢え…あ、はい、！｣

顔を逸らしてそう言った左馬刻さんはそのまま歩き出してしまったので、返事をして後を追いかける。

_と、数歩歩いたところで左馬刻さんがこちらを振り返って、ん、と手を差し出してくる。

｢えっ…と？｣

戸惑いながらそう返せば、少し不機嫌に歪んだ顔になりながら、口を開く彼。

｢手ぇ、繋ぐぞ｣

｢ぇ、｣

｢はぐれるだろーが、お前は｣

そう言いつつ意地悪い笑みを浮かべる左馬刻さんに顔が赤くなるのが分かる。それを理解した上で私の手を握り顔を近づけてくる左馬刻さん。

｢あと…デートなら恋人っぽくするのがフツーだろ？｣

彼は耳元でそう囁いて、行くぞ、と照れる私を他所に、手を引いて再び歩き出した。

___4時間後___

映画やら、ゲームセンターやらと色々なところを短時間で回り続け、歩き疲れたところで近くにあった純喫茶に立ち寄ることにした。

｢はぁ……左馬刻さん、今日はありがとうございます。すっごく、楽しかったです｣

口に広がるミルクティーの甘さと紅茶の美味しさを感じながら、コーヒーに口をつけていた左馬刻さんにそう伝える。

｢そーかよ、それはよかったな｣

と、少しぶっきらぼうに返ってくる言葉。

｢さ、左馬刻さんは楽しくなかったですか…？｣

それを、不機嫌なのかもしれないと思ってしまった私の口から出た言葉に、少し驚いた顔を見せた左馬刻さんだったが、直ぐに口元を弛め、小さく笑いを零す。

｢ばぁーか、お前と一緒で楽しくないなんてこと、ある訳ねぇだろ？｣

｢ﾋﾟｪ…｣

思わず漏れた鳴き声のような声に、なんだそれ、と笑う左馬刻さん。

恥ずかしさと、その笑顔の素敵さにドキドキしてしまい、思わず顔を背ける、と。

店の外をたまたま通り掛かったであろう、一郎くんと目が合う。

｢ぁ…｣

目を見開いては、相手を確認し顔を歪ませた一郎くんが急いで店内に入ってくるのを確認する。


………

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