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「ねえ、ママ」
「ん？なに？？」
眠る前、絵本の読み聞かせをしている途中に突然シヨルは私のパジャマの袖を引っ張った。
「パパは？」
「…え」
「シヨのパパは？？」
今まで全くとは言わないが、シヨルからその質問が出てくることはなかった。
なんで今…。
絵本もアニメもあまり父親がたくさん出て活躍するものは避けてきた。
今読んでいるのも動物たちの話だ。
父親なんて全く出てこないのに。
「シヨル、突然どうしたの？」
「だって、いないんだもん」
「そうだよね…」
静かに絵本を閉じた。
なんて言ったらいいんだろうか。
もう本当のことを言うべき？
でも3歳だし、早いと思っていた。
こんな時こそテヒョンに聞けばいいのだろうか。
いや、わざわざこんなことで相談なんてできない。
これから私は一人でシヨルを育てていかなきゃいけない。
グクにそっくりな大きな目がキラキラして私を見つめていた。
「…パパには、もう会えないの」
「なんで？」
「イリも最近、いなくなっちゃったでしょ？」
イリとは近所にいた野良猫だ。
昔からずっといて、うちの玄関まで遊びに来ていたのに1ヶ月前から全く見かけない。
最初シヨルは泣いていたけれど、最近はもう受け入れたらしい。
「どっかいっちゃったね」と。
「パパも、イリみたいにどっかに行っちゃったの」
少し明るめな声で言ったけれど、確実に震えていた。
「いつかまた会いに来てくれるかも」
「ほんと？」
「うん。だから待ってようね」
「うん！」
戸棚から手帳を引っ張り出し、シヨルに見せる。
中にグクの写真が一枚だけ入っている。
写真を撮られるのを嫌ったグク。
今ならなんとなく理由はわかる。
彼が寝ている間にこっそりスマホで撮影したものだ。
現像して手帳に写真を入れている。
その写真を見せるとシヨルは何故か眉を寄せた。
「これがシヨルのパパだよ」
「…ママ」
「ん？」
「ママはパパが嫌いなの？」
「まさか！」
そんなわけない！
叫びそうになって慌てて口を両手で抑えた。
なんでそんなこと聞くんだろう。
「…会いたい」
「ママ…」
「会いたいよ、すごく。会いたい…！」
我慢していたのに、涙がどんどん出てくる。
シヨルの前で泣くなんて。
初めてかもしれない。
シヨルはびっくりしたようで、一緒に泣き出してしまった。
「ごめん、ママ大丈夫だよ」
優しく背中を撫でつつも、涙はどうしても止まらなかった。
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う - 最高すぎる！ (2021年8月27日 0時) (
レス) id: e80e14e0ea (このIDを非表示/違反報告)
優(プロフ) - 名作すぎます (2020年1月23日 3時) (レス) id: b6570be25e (このIDを非表示/違反報告)
ぺう(プロフ) - とても良かったです。 (2019年2月4日 12時) (レス) id: 8883837a46 (このIDを非表示/違反報告)
cooky - とても、感動する作品でした！！！最後、ハッピーエンドになってよかったです。けれからも、がんばってください♪ (2019年1月16日 1時) (レス) id: 13ad5ea90e (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - めっちゃ好きで、もう何回も読んでます (2018年10月24日 21時) (レス) id: f12f5d2dd3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ソラン
| 作成日時：2018年8月31日 12時
