…26 ページ13
さてと、不動君はもう戻ってきちゃうかな……? スマートフォンのパスワードを解除して着信履歴の一番上をタップした。コール音の3回が鳴ったところで「何だ」とぶっきらぼうな声が聞こえる。その声を聞くと美影はオーバーなほどに身振り手振りをつけて、
「やあ、今どこにいるかな?」
と言った。まるで、道化師だな。もっとも、楽しませるようなことはしていないから違うか、と自嘲気味に心の中で笑った。
「今はまだ警察のところから動いていないが?」
「それは好都合だ! 監視カメラを調べてくれるかい? 時間は死亡推定時刻の1時から2時。できれば全部調べてほしいな」
「……あぁ、いいが。何故だ?」
不動がそう訊くと、得意気にウフフと美影は笑った。
「思い出したのだよ。私が瀬川君をプールに突き落としたあと、30分ほどだが彼は『歌舞伎好きなおば様に捕まった』と言っていた。つまり、監視カメラを見れば恐らく彼の疑いは晴れるはずだ」
「あぁ、わかった。訊いてみよう」
「ありがとう」
美影は通話を切ると、溜めていた息を吐いてベッドにパタリと倒れ込んだ。
(これが見つかって、現場班にも何か進展があれば瀬川君の疑いは完全に晴れるはず……。勿論"彼ら"が何もしないとは限らないが……)
美影はホワイトボードに書かれた3人の特徴と廣瀬の死んだ目を横目で見て、3人の特徴に当てはまる者を頭の隅で考える。
天井をボーッと見上げていると、不意に地響きと轟音が聞こえた。地響きで僅かに建物が揺れる。それと同時に「ただいま」と咲禰が帰ってきた。
「……これはどういうこと?」
「うん、ちとせはぶじだよ。こいさんがでてきてたからね。あの3人はじぶんたちがばくだんをしかけたっていっていたけど、ちょっとそうとはおもえなかったな。なんでだろう」
「あの3人がねぇ……。まあ、やりかねないけど」
咲禰は美影の顔を覗き込んで「しってるひと?」と訊いた。無邪気だからこそ、何を考えているかわからない。美影はこの目が苦手だった。だからこそ「瀬川君を拐うなんてことをするんだから、やるんじゃないかな?」と適当に誤魔化した。どうか探らないで欲しい、という意思を込めた目で咲禰を見る。バレるのを恐れてはいない。いつかはバレる。だからこそ、その日はできるだけ先延ばしにしたかった。
19人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
神羅(プロフ) - 蛍火さん» すみません、もう締め切っておりまして……。それに、今は殆ど機能しておりませんので……。ボチボチ更新しなければと思うのですが、私も一応受験生でして……。すみません。 (2018年7月9日 23時) (レス) id: 57d9444f68 (このIDを非表示/違反報告)
蛍火 - お話読ませていただきました。もしも席がまだ空いているのなら、社員として、入らせていただけると嬉しい所存でございます。この小説を読もうとしたきっかけは、ラハルちゃんの紹介です。お考えの方よろしくお願い申し上げます。 (2018年7月3日 14時) (レス) id: 62a90d8188 (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 浅葱さん» 頑張ります! ちょこちょこ更新しますね (2018年3月4日 21時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
浅葱 - すごい、面白いです!更新待ってます!! (2018年3月3日 13時) (レス) id: 2921f40b7a (このIDを非表示/違反報告)
神羅(プロフ) - 花園イリアさん» はい! おかげさまで突入できました! 不定期更新ですが、これからもよろしくお願いいたします(^-^ゞ (2017年5月5日 14時) (レス) id: a22dd21ad8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ