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198.幸せな時を駆けた二人の物語 ページ48

 花冠を頭に乗せた私は

 風に飛ばされぬように右手で押さえながら

 大きな空に左手をかざした。

 


 透き通ような水色の空に


 太陽の光を浴びて淡く光るは


 燃えるような柘榴石(ざくろいし)



「まるで…」


「「"杏寿郎" "A"の瞳のよう。」」


 見つめ合えば


 どんな宝石よりも綺麗な瞳が

 
 いくつもの光を集めて優しく光り輝いた。



 杏寿郎は私の左手を掴むと、ぎゅっと握りしめた。


「A、君のことを愛している。

 伝えきれないほどに想いが溢れているんだ。」


「私も杏寿郎のことを愛しているよ。

 本当に幸せ。すごく幸せ…」



 私たちは互いに小指を絡めると、

 微笑み合いながら"ゆびきりげんまん"をした。



「ここに永遠の愛を誓おう。」








 ねえ、杏寿郎。

 例えば、私が鬼殺隊に入らず暮らしていたのなら、

 もしかしたらこんなに早く死ぬことは

 なかったかもしれない。

 でもね、そんな世界線があったとしても、

 二十歳までしか生きられないと知っていても、

 私はきっと杏寿郎に出会う道を何度だって選ぶと思うの。




 なあ、A。

 例え辛く残酷な道だとしても、

 俺は何度だってAと出会うこの人生を選ぶ。

 君と出会って、恋に落ちて、色づいた日々は

 俺にとって全てがかけがえのない宝物なんだ。
 
 



 誰もが幸せな人生の結末を願っている。

 それはいわゆる"ハッピーエンド"と呼ばれるもの。


 きっと、若くして黄泉の国へと行った私(俺)たちを

「可哀想」「悲しい」「まだこれからなのに…」

 と思う人たちもいるだろう。


 それは間違いではない。

 やりたいことだってたくさんあった。

 叶えたい夢も見たい景色もたくさんあった。


 でもね、私(俺)たちの人生は決して不幸なんかではない。

 それは結末の一部分でしかなくて、

 私(俺)たちの人生は満ち足りて幸せだった。


 家族に愛された。

 同じ志をもつ仲間に会えた。

 人々の温もりに触れ、笑い合えた。



 一生分の恋をした。



 私(俺)たちは幸せだったんだ。


 だからどうか終わりばかりに目を向けないで。








 これは最高に幸せな時を駆けた二人の物語。

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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 小鈴さん» 感想ありがとうございます!最後までお読みいただき光栄です。物語は読んでもらってこそ生きるものだと私は思うので、この作品を見つけてくださり、そして読んでくださったこと、本当にありがとうございます! (2022年11月15日 18時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。途中からずっと、涙なしでは見られませんでした。この作品の主人公と煉獄さんに出会えて本当に良かったです! (2022年11月14日 22時) (レス) @page50 id: 97399e389e (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 最後までお付き合いいただき、感謝申し上げます。主人公に感情移入し、物語に入ってもらってこそ、この小説の醍醐味と思い作っていたので、大変光栄です!あたたかいコメントにいつも励まされておりました。ありがとうございました! (2022年7月16日 7時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 読了が遅くなりました。お疲れ様でした。長らく愉しませて頂きました。現し世でなくても、ハッピーエンドとは!こういう纏め方もあるのかと感心です。彼女の気持ちに入り込んでいたため、逢いたいけど早いよと涙しました。 (2022年7月15日 16時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!起承転結の「転」は恐らく読者様の予想を超えるものになってしまったかもしれません。しかし、美桜さんのように嬉しいお言葉をいただけると、作者として本当に幸せです♡最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (2022年7月10日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年6月12日 13時

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