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162.再会 ページ12

花屋で買い物を済ませた俺は

 一度、炎柱邸へと戻るところだった。


 すると、突然冷たい雫が頬に当たり、空を見上げる。


 あんなにも青空だったのに、

 いつの間にか空は鉛のような重い色になっていた。
 
 ポタポタと降り始めた雨は、次第に勢いを増してきて、

 雨宿りをしようと急いで屋根のあるところへ駆け込んだ。


「突然降ってきたわね。

 雨が弱まるまでここにいなさいな。」

「ありがとうございます!」

 店の女性は目を細めて笑った。

「母ちゃん!今、戻ったよ!すごい雨だ…あっ!!」

 傘を差しながら小さな女の子を連れて来た男の子は、

 俺の顔を見るなり大きな声を上げた。


「なんだい?大きな声を出して。」

「あの時のお兄ちゃん!!」

 記憶辿ろうと周囲に視線を向けた時、

 たくさんの和蝋燭に目が止まった。


「君はあの時の少年か!久しいな!」

「うん!あれ?今日はお姉ちゃんと一緒じゃないの?」


「…彼女は家で留守番だ!」


「そっかあ。姉ちゃんにもう一度お礼が言いたかったんだあ。

 ほら、母ちゃん!

 このお兄ちゃんと一緒にいたお姉ちゃんがさ、

 母ちゃんの薬代のために蝋燭を全部買ってくれた人!」


 男の子に手を繋がれた妹はきょとんと丸い目を

 光らせながらこちらを見ていた。


「そうなのかい!?その節は本当にありがとうございました。

 お陰で私の体調も良くなり、今じゃこうして

 子どもたちと一緒に商売ができるほどです。

 彼女さんによろしく伝えてくださいね。」



「そうでしたか!

 お元気になられたようで良かった!

 必ず伝えます!彼女もきっと喜ぶことでしょう!」

 
 親子は顔を見合わせて笑った。

 本当に良かった。今はとても幸せそうだ。


「あ〜!そのお花、お姉ちゃんにあげるの?」


「うむ。綺麗な花だろう?」


「うん!とっても綺麗!

 兄ちゃんたちラブラブだね〜!ひゅーひゅー!」


「こら!やめなさいアンタ!」
 
 母親に注意されながらも、男の子は嬉しそうに笑っている。


「そうだ!蝋燭をひとついただけるか?」


「勿論だよ!はい!あとこれも持っていって!

 いいよね?母さん!」


「私たちの恩人だもの。良いに決まっているわ。」


 男の子は2本の蝋燭をおまけして入れてくれた。

163.君がいる→←161.約束の絵



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設定タグ:煉獄杏寿郎 , 鬼滅の刃 , 夢小説   
作品ジャンル:アニメ
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狐姫(プロフ) - 小鈴さん» 感想ありがとうございます!最後までお読みいただき光栄です。物語は読んでもらってこそ生きるものだと私は思うので、この作品を見つけてくださり、そして読んでくださったこと、本当にありがとうございます! (2022年11月15日 18時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
小鈴(プロフ) - 素敵なお話をありがとうございました。途中からずっと、涙なしでは見られませんでした。この作品の主人公と煉獄さんに出会えて本当に良かったです! (2022年11月14日 22時) (レス) @page50 id: 97399e389e (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - misakimiさん» 最後までお付き合いいただき、感謝申し上げます。主人公に感情移入し、物語に入ってもらってこそ、この小説の醍醐味と思い作っていたので、大変光栄です!あたたかいコメントにいつも励まされておりました。ありがとうございました! (2022年7月16日 7時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)
misakimi(プロフ) - 読了が遅くなりました。お疲れ様でした。長らく愉しませて頂きました。現し世でなくても、ハッピーエンドとは!こういう纏め方もあるのかと感心です。彼女の気持ちに入り込んでいたため、逢いたいけど早いよと涙しました。 (2022年7月15日 16時) (レス) @page50 id: cb1d4026ae (このIDを非表示/違反報告)
狐姫(プロフ) - 美桜さん» ありがとうございます!起承転結の「転」は恐らく読者様の予想を超えるものになってしまったかもしれません。しかし、美桜さんのように嬉しいお言葉をいただけると、作者として本当に幸せです♡最後まで読んでくださり、ありがとうございました! (2022年7月10日 15時) (レス) id: 12299479a5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:狐姫 | 作者ホームページ:https://mobile.twitter.com/kohime_yume  
作成日時:2022年6月12日 13時

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