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#92『母の形見』 ページ7

太宰は敦の落下点に向かって歩き出した。脳内では朔の事を考えていた。

肯定もせず否定もしなかった朔はどちら側の人間だろうか。


真意が読み取れない。



まるで一度だけ会った魔人のようだ。

朔はかの魔人と接点があるのだろうか。

それに昔、太宰と中也に会った事があるとも公言している。


自身の記憶が改竄されているのだろうか?


謎が深まるばかりだ。

太宰は溜息を吐いた。








太宰が去り、朔は手際良く襲いかかってくる人を気絶させていた。



そんな時でも思い出すのは探偵社に配属される時の坂口の言葉。




『探偵社には貴女の射殺許可が降りてます』


仕方がない。実際間諜である事に間違いはないのだから。

其処からの日々は中々辛いものだ。誰にも信用されることは無いし、命を狙われている。


息苦しいなあ。昔の方が余程良かった。



朔は坂口の言葉を思い出す度呟いてみるのだ。

その時、道端に置かれていた得体の知れない物体から煙が吹き出した。

太宰が仕掛けた物だろう。
趣味の悪い物体からは白い煙ーーーー飽和チャフと思しきもの噴出された。



そう簡単に用意出来る物では無い。

……恐ろしい人ですね



朔の呟きは、誰にも届かなかった。


その後太宰の異能無効化により、精神操作を受けていた人達は元の通りに戻った。






その次の日の朝。朔は事務所でいつも通り書類整理をしていた。

特務課から要請されている報告書も溜まっている。

朔は溜息を着いた。


その時、敦が朔の肩を叩いた。

朔は後ろを振り向く。

「どうしましたか?」

「これ、返そうと思って」

敦は自身の首から下げていた黒曜石のネックレスを朔に渡した。

「返すの遅くなってごめんね」

ずっと、持っていたのだ。

夢野久作に精神操作を受けていた時も、組合に捕まった時も、白鯨から飛び降りる時も、肌身離さず持っていた。

朔はそれに驚きながらそれを受け取り自身の首に下げ直した。

「そのネックレス朔君のお母さんの形見何でしょう?何故、貸してくれたの?」


「確かにこれは母の形見です。中島さんなら託してもいいかな、と思っただけですよ」


朔はネックレスを見る。あったことの無い母がずっと身につけていた物。

#93『密会』→←#91『魔人の生き写し』



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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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