#122『皆を救った笑顔』 ページ36
鏡花の目は大きく見開かれた。
目の前に散っているの紙吹雪が自身の頭の降ってきた。
戸惑う鏡花の背を敦が押し、各々好きな飲み物を手に取った。
朔は一人、ジュースと『杏っ子』のピロシキを手に窓の縁に座った。
皆、嬉しそうな顔だ。
与謝野女医はお酒を白湯如く飲みまくり、
国木田は頭を抱えながら電卓を叩き、
谷崎は敦と鏡花に料理を振舞っている。
平和だ。
一時的な幻想にも思える程、平和だった。
「あの･･････朔君」
敦が下を向きながら朔の元に来た。
楽しい雰囲気とは裏腹に敦の表情は暗かった。
朔は微笑みながら敦を見た。
「ごめんね･･････」
敦が消え入りそうな声で言った。
Qの精神操作を受けていた時のことを言っているのだろう。
精神操作を受けていたとはいえ、仲間である朔を殺しかけてしまった。
「気にしないで下さい」
「もしあの時僕が君に殺されたとしてもそれは僕の過去からの罰です」
敦は絶句した。
朔は自身の死をなんとも思っていない。全て自身が受けるべき報いだと思っている。
朔もまた敦と同じく過去からの軛に囚われ続けている。
朔の過去はどういうものかは知らない。きっと聞いても、お得意の笑みではぐらかされてしまうだろう。
敦の顔がいっそう暗くなった。
「でも、本当に気にしないで下さい」
朔は弁解するように声色を明るくさせた。
「探偵社では気にしていたら気が持ちません。異能力が存在するこの世の中にはどんな事が起きても可笑しくありません」
朔は顔が暗い敦の肩を優しく叩いた。
「貴方は笑っていた方がいいです」
敦は少し顔を明るくさせ弱く微笑んだ。
「中島さんの笑顔は周りを明るくさせてくれます。そんな方が暗い顔でどうするんですか？心配しますよ」
朔は優しく、諭すように言った。
「そう･･･かな?」
敦は恥ずかしそうに笑った。
朔は手に持っている食べようとしていた『杏っ子』のピロシキを敦に差し出した。
「僕に行き着けのパン屋の物です」
敦は戸惑いながらもそれを受け取り食べた。
その顔は驚きに染まった。
「とても、美味しい!」
敦はキラキラ笑う。
朔も自然に微笑みをうかべた。
･･････嗚呼、僕には眩しすぎる
「ピロシキ、という僕の祖国の料理です」
「へえ〜」
敦は頷きながらもう一口頬張った。
野菜と肉の味が口いっぱいに広がる。
敦は舌づつみを打った。
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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (
レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました！ありがとうございます！ (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：飛沫 | 作成日時：2020年3月16日 15時
