#121『入社おめでとう』 ページ35
探偵社の事務室は壁が綺麗に装飾されている。
そして、何時もは書類の山がある所には沢山の料理が置かれていた。
社員は忙しくドアを出たり入ったりしている。
今日は鏡花が探偵社に組合戦以来初めて出社する日だ。そんな鏡花の為にサプライズパーティーを開きたい、敦が言った言葉に社員は反対することは無かった。
・・・・・・まあ、国木田さんは渋々みたいな感じでしたけど
谷崎は、料理を作っている。
元々、朔も料理を作る当番にあたっていたが、あまりにも危なっかしい手つきだったので谷崎から追い出された。
そもそも食に興味が微塵もない人にとって料理を作れと言われるとかなり困る。
朔からしたら食べれるならなんでも良いのだ。
行き場のない朔は探偵社の窓にもたれかかっている始末だ。
朔は外を見た。
数日前に戦争があったとは思えられないぐらい普通の日だ。子を叱る母親、ネクタイをきっちり締め、電話しているサラリーマン、楽しそうに笑う女子中学生達。
きっとこの人達は異能力とは無縁の存在だろう。
朔達と交わることの無い、普通の人たち。
「朔〜暇なら手伝ってよ」
後ろから谷崎の声がした。
……君が僕を追い出しただろ
「・・・・・・いいですよ」
朔は溜息を一つ吐いた。
谷崎から料理を渡され、机に並べる・・・・・・これが朔の新たな仕事だ。
朔は淡々と料理を並べて行った。
よく見る家庭的な料理から、滅多に食べないものまで。
これ、全て谷崎が作ったと思うと尊敬という単語しか思い浮かばない。
一応朔は差し入れとして持ってきた『杏っ子』のピロシキをテーブルに置いた。
組合のせいで中々行けてなかったため、亜沙子に物凄く心配された。
朔は辺りを見回す。
他の社員は浮かれてふわふわしている。
傍から見れば、この人達がヨコハマを守ったとは到底思えないだろう。
料理も全て並べ終わった。
後は主役が来るのを待つだけだ。
エレベーターが開く音がした。
「もうすぐです」
社員全員手にはクラッカーがある。
ドアノブが回る。
ドアが開けられる。
クラッカーの中のちり紙が美しく舞った。
「鏡花ちゃん入社おめでとう!」
本当におめでとう泉さん。
朔は鏡花に笑いかけた。
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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時