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#109『爽やかな笑顔』 ページ24

「朔・・・・・・」


スタインベックは朔を見た。朔はスタインベックを見た。朔の顔は驚愕で染っていた。
初めて今の名前で呼ばれたからだ。


「スタインベックさん・・・・・・」



「さようなら」



朔は心の底からの笑みをうかべた。

仮面を被った張り付いた笑みじゃない笑顔はとても綺麗だった。

スタインベックも太宰も驚いた。

その笑みは爽やかで、美しかった。


朔はスタインベックに背を向け、歩き出した。


もう足跡は二度と交わることの無い。

太宰は朔の後続いた。



「僕は・・・・・・今の君も・・・・・・」







「大好きだよ」







スタインベックの呟きは夜空に飲み込まれ消えてった。









「朔くん、君も笑えるじゃないか」


太宰は20cm下の朔を見おろした。


「・・・・・・出来ないと言った覚えはありませんが?」


朔は何時もの仮面の笑みをうかべた。

太宰は苦笑いを零し、自身の携帯の画面見せた。

朔の表情が固まった。

そこに映るのは満面の笑みを浮かべた――――――萩原朔だったのだ。


「今の君の顔撮るかい?すごく面白いよ」



「今すぐ消してください!」


朔は太宰の携帯を取ろうとジャンプした。
勿論20cm高い太宰相手にかなうはずが無く・・・・・・

結局写真は太宰の手元に留まる事になってしまった。

不本意ながら、だが。



――――――――――――――――――――

「流石ですね・・・・・・江戸川さん」


「凄い情報ですね。値千金だ」


太宰と朔は江戸川から渡された、組合のアジト白鯨(モビーディック)の機密情報を見た。

先日与謝野と江戸川がエドガー・アラン・ポーから推理勝負で見事勝ち取って来た物だ。
「これを使って組合の背骨を一撃で折るとしたら・・・・・・潜入から爆弾?」

「無理ですよ。場所に寄りけりですが、着水して失敗です」

太宰の意見に朔は反論した。


「それに通信から狙撃、着水して失敗だ」


2人の言葉に太宰は思案した。

「本当だ。じゃあ特務課突入から賢治くんだと?」


「無理。地上戦になって痛み分け延長戦」


「与謝野女医が必須ですね」


三人の会話は最低限の事のみしか言葉に出さない。
世界一の名探偵 江戸川乱歩
元マフィア五大幹部 太宰治
探偵社で正体を知るものは無い 萩原朔

この面子だと、最低限の言葉だけで会話可能だ。むしろ必要以上の言葉は無いのでは、と朔は思った。

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飛沫(プロフ) - hurukawaさん» いえいえ、すみません。是非最後まで見てください。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - 見れました!ありがとうございます! (2021年1月15日 18時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)
飛沫(プロフ) - hurukawaさん» ご指摘ありがとうございます。こちらの不手際で非公開になっておりましたので、それを解除しました。見れるようになれたと思います。すみませんでした。 (2021年1月15日 18時) (レス) id: 06a707eb14 (このIDを非表示/違反報告)
hurukawa - #96がないです (2021年1月15日 17時) (レス) id: be99c0bfdf (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛沫 | 作成日時:2020年3月16日 15時

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