【薄桜鬼】めったに咲かない花＿僕らと君の満月日＿ (ページ36)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:172,655 hit

36 ページ36

土方「お前はここを離れるな。絶対離れるなよ。いいな」

「…嫌だ。悪いけど一緒に行くよ」

それだけを言い残して去ろうとする土方の背中に引っ張られるように立ち上がる

土方「…は？」

「…ほら、早く行かないと」

彼女は土方の表紙が抜けた顔を見たあと、叫び声の上がったほうを見る

土方「…いい訳ないだろ…？

おい！平助新八左之！こいつ見張っとけ！」

少し怒りが混じったような呆れたような小さな声で彼女を見る

そして三人の名を上げさっさと立ち上がる土方

藤堂「えぇーーーなんで俺ー」

永倉「あぁー！」

原田「なんでだよ」

土方「てめぇの飲んだ量考えろ！！」

ギッと三人を睨みつけ、彼女をちらりと意味あり気に見たあと、さっさとその場を出て行ってしまった

沖田、斎藤はもうとっくに現場についている頃だろう

・

・

「……」

藤堂「なんで俺ばっかりいつも見張りなんだよ…つまんねぇ」

ぶーぶーと足をじたばたさせる藤堂の横で

「……見張ってて、つまらない奴ですいませんでしたね」

彼女は床の一点を見つめたまま「フッ」と意味あり気な笑う

藤堂「…えっ、あいや、そういう意味で言ったわけじゃなくて…！」

「……女の子、大丈夫かな」

藤堂「あれ！？無視！？」

永倉「まぁあの三人がいれば大丈夫だろうな。

自分のこと鬼とか可笑しな事いってっけど、壬生浪と呼ばれた俺たちにはかなわねーよ」

俺も戦いたかったが、と添えてニシシと陽気に笑う

藤堂「あれれれ！？」

…藤堂が少しうるさいがほっておこう。

女の子、と言えばちらほら見た事がある子だと確信する

お茶を運んだり掃除をしていたり朝食を作ったり。
なんで新選組にいるかは疑問だが、まぁ触れてはいけない気がするので触れないでおく

雑用ばかりやっているのに、少しも手を抜こうともせず
何より、楽しんでいるように見えた。

原田「…お前よぉ、」

「……僕？」

思考を働かせている途中、急に原田に呼ばれる
自分自身に指を指す

原田「あぁ。」

「………」

原田「………」

「……で？何？」

変な沈黙を破ると
原田が頬を掻きながら、どこかを見ながら
照れ臭そうに

原田「きっと…あー…あれだな。土方さんお前の事、大事なんだよ。

俺たちも、な。」