【銀魂】ボールパークの恋愛算術

7 アカツキ ページ7

　
　
　
　
いつもよりリュックが重いのは気のせいなんかじゃなく、開けて見ればたくさんの白い紙の束が入っている。
重さと気鬱が比例して体にも心にも伸し掛かるのを全て吐き出すように大きな溜息を吐いた。





『あら、今帰り？』





下駄箱から靴を取り出して履こうとしたところに背後から聞こえてきた声は知って居る人物のもので振り返らずには居られなかった。







『お妙ちゃん、それに神楽も...部活終わり？』

『そうよ、...Aちゃんは...』

『言わせないで』







今日も今日とて高杉先生にたっぷりと扱かれ思い出しただけで阻喪(そそう)してしまいそうだ。
いや、もうすでに私のライフはゼロである。







『数学だけはてんで駄目アルな』

『神楽には言われたくない』

『Aよりはマシヨ』







それもそうだ、補習を受けてるのは私だけでつまりはそういうこと。




話をしながらも下駄箱を抜け暗くなり始める帰宅路を3人で歩く。
女友達とは不思議なもので、少しの会話で話は永遠に続く。







『でも、Aちゃん頑張ってるんでしょう？』

『...うん』

『偉いじゃない』







こういう時のお妙ちゃんは凄くお姉さんな感じがしてつい甘えたくなってしまう。
甘えそうになって、ふと思い出すのは高杉先生の「甘やかす気はねェな」の言葉。
なんだか「甘えるな」とでも言われてるみたいでお妙ちゃんに甘えることはできなかった。






『Aは行きたい学校が在るって言ってたネ』

『そうなのね...、神楽ちゃんは進路どうするの？』

『とりあえず金持ちの彼氏作って当分は遊ぶ予定アル』

『それって"進路"なのかしら』







私は一歩下がって2人を見ていた。




楽しそうに笑う2人に私は少しだけ救われた気分になった。
先生のことは好きになる気もなれる気もしないが数学克服はもうちょっと頑張ろう。




気付けば重かったリュックの荷物も心なしか軽くなった気がした。

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