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99話 ページ3

王座に腰を()えた異国の女に、場は騒然(そうぜん)となった。

「各々、しっかりしなさい。事態は深刻(しんこく)です。恐らく、国を2つに分ける戦になる。バルバッドにいる全兵は国境の守りを固めなさい。各部隊長、すぐにこれにあたりなさい!この状況は紅炎にもすぐに伝わる!!彼らが戻るまで私達でここを守るの!!いいわね!!」

甲冑(かっちゅう)を着込んだ男女は、自分達のすべきことをはっきり意識したのだろう。
ぐっと唇を()み締め、一礼した後走り去っていった。

「A!」
「紅玉姫」
「どうなっているの?何が起こっているのよぉ」

不安を隠そうともしない紅玉姫を正直部屋から出てくるなと怒鳴りつけたくなった。
将軍の座についている練家の姫が狼狽(うろた)えていては、不安を(あお)るだけだ。

「落ち着いてください。紅炎は間も無く帰国します。それまでここは私達で持たせるしかないんです。お願いします。毅然(きぜんと)とした対応を。動揺を見せてはいけません。」

一瞬恥じるような顔をしたものの、紅玉ははっきりと頷いた。

「貴方はれっきとした練家の姫で、将軍に任じられた実力者です。城の中は私がなんとかします。軍部を頼みませんか」
「ぐ、軍・・・?私が?」
「はい」

ためらいはあるだろう。
軍には紅玉よりも功績(こうせき)や年齢が上のものが沢山いる。
それを押しのけ、練家の姫である。ただそれだけの武器で、場を持たせろと言っているのだ。

紅玉はぐっと唇を噛み締め、しっかりとAの目を見た。

「わかったわ!」

走り去っていく紅玉を見送ることもなく、Aは広い会場を見回した。

「バルカーク!!バルカークはいないの!?」
「お呼びでしょうか!」

思ったよりも側にいたらしい。
駆け寄ってきたバルカークとその部下たちは、ためらうことなくAに(ひざ)を折った。

「この騒ぎはすぐに城下にまで広がる。不安になった市民達がどういう行動をとるかわからない。暴動なんか起こったら紅炎は粛清(しゅくせい)に出るしかない。そんなことさせたくないの!お願い!!市民達に軽率(けいそつ)な行動をとらないように呼びかけて!」
「はっ!お任せください!!」

ばっ!!と、勢いよく頭を下げたバルカーク達と入れ違いに、(ほこり)っぽい甲冑を来た兵士が議場に飛び込んできた。

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設定タグ:マギ , 練紅炎   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2018年3月27日 20時

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