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8話 ページ8

アイラに制止され、一瞬アランは(ひる)んだが、アグラは不思議と何も言わなかった。

「この島に生まれた娘で青い目を持つものは、巫女と定められています。(さまた)げは許されません」
「ちがうもん!このこは、ぼくのいもうとで、おなまえは『アオバ』だよ。ぼくがきめたんだ。」
「アグラ。息子の教育くらい、きちんとするものだ。幼いとはいえ、島のしきたりに逆らうとは、甘やかしすぎだとは思わんか」
「すみません」

なんの感情もこもらない声で、アグラは頭を下げた。

とうちゃ・・・
声にならない声。
言われていることはよくわからなくても、自分のせいで父が責められているのはわかった。

「全く。突然、勝手に島から出て行く。離縁(りえん)されたその日に別の男と所帯(しょたい)を持つ。親が親なら子もか。」
「アバス。兄弟を奥に連れて行け」
「はい。おいで。皆んな行くよ。アラン」

こんな時。いつもなら、嫌々でもアランはアバスの言うことに逆らったりはしない。
けれど、アランはアバスのもとに行くどころか、村長の目の前に立った。

「とうちゃんと、かあちゃんをいじめないで。ごめんなさいして」
「アラン!いいから、兄ちゃんと奥に行っておいで」

生まれて初めて、アイラの声にもアランは引かなかった。

家族を守ろうとする、小さな小さな壁。

「こんど、ぼくのかぞくのわるくちいったら」

いつもは天真爛漫(てんしんらんまん)な無邪気な目に、本気の怒りが宿る。

利口なアランにはわかっていた。
言葉の意味はわからなくても、今、家族という自分の世界が、攻撃されている。
大好きな母親が悲しみ、戦えば負けるはずのない父親が、黙って頭を下げ。
他の兄弟たちは歯を食いしばって耐えている。


『アラン。男が戦うのは守るべき者の為だ。』


ならば、今戦わなくていつ戦う。

家族を攻撃するのならば。
妹を連れて行こうとするのならば。
明らかに、それは。

「ぼくのてきだ」

敵という強い言葉に、良女達が顔色を変えた、その時だ。

「これは、何事です!」

第三者の鋭い声が飛んできた。
肩までのまっすぐな髪をした青い目の娘…ティラだ。

普段のおっとりとした姿からは想像が付かないほど、ティラは素早くアランを背に(かば)い、良女と向き合った。

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作品ジャンル:アニメ
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薙刀桜餅(プロフ) - 飛燕さん» 10年後が楽しみですね笑更新お疲れ様です!ティラちゃんのお話は、気長にお待ちします!作者様の描きたい時に、描いていただくても大丈夫です!言い方がおかしくてすいません、これからも更新頑張ってください! (2017年8月18日 20時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» 10年後、アランの夢。アオバに理想のタイプ。兄ちゃんと言ってもらうこと(笑) (2017年8月18日 19時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 登場人物が増えると、どんどん面白くなっていきますよね!8話のアラン君がめっちゃかっこいいです!さすがお兄ちゃん! (2017年8月18日 15時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» ありがとうございます!ティラですか~。ちょうどアオバも登場したのでいいタイミングですね! (2017年8月18日 12時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - こんばんは!続編おめでとうございます!いきなりなのですが、ティラちゃんが巫女だった時の話が読んでみたいです!! (2017年8月17日 21時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2017年8月11日 6時

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