50話 ページ50
「皆んなも手伝ってくれてありがとう。本国の方に発見したって連絡頼める?」
「かしこまりました。アルガン島に向かう時はお声掛け下さい。」
驚いた。
セトは任務としてシンドリアに来ている。
なのに、アルパ国の
「シャ・・・。じゃない。陛下が?」
「はい。きちんと送り届けるように言付かっております。・・・それでは」
去っていくかつての部下たちを見送りながら、Aは脱泣き虫宣言をしたはずの少年を抱きしめた。
「えっぐ!ひっくひっく!!うえぇえええ!!」
「ごめんね。アラン君。大丈夫?お家に帰ろう。」
「Aちゃんもいっしょ?ひっく。ぐず」
「うん。一緒だよ」
するとだ。今までの爆発は何かと思うほど、にぱっとアランは笑って、泣くのをやめた。
「うんっ!いっしょ!!」
かわいいなぁ。アラン君。
ん?
視線に気がついて、顔を上げると、シャルルカンが複雑そうな顔でこちらを見ていた。
傷ついているような。
悲しみに満ちたような、なんとも言えない表情だった。
「シャル・・・。ありがとう。シャル」
「馬鹿野郎」
「うん・・・」
伸びてきた手がくしゃっとAの髪を撫でた。
その感覚が懐かしくて笑っていると、シャルルカンは様々な感情を吹っ切ったように、笑った。
「よし。朝飯だ。何か買って家で食うか」
「ぼく、Aちゃんのオムライスがいい!!」
「じゃあ、材料買って帰ろう」
顔を上げると、枝に止まった鳥が不自然にこちらを見ていた。
ひょっとしたらゼパルの力でこちらを観察しているのかもしれないし、思い過ごしかもしれない。
何はともあれ、アランをゆっくり休ませてあげたい。
シンドバッドと対峙するのはそれからの話だった。
夢の中で、アランはアルガン島にいた。
慣れ親しんだ気温。音。匂い。
アランの体に染み込んだ故郷の記憶がここはアルガン島だと認識させた。
『う?ここ、どこ??』
どこか森の中のようだ。
けれど、何かがおかしい。
ぽっと奥の方で光が灯った。
『アオバ?』
姿が見えたわけではない。
ただ、その光を見た瞬間、アオバだと感じた。
ふわふわっと、光はさまよい、森の奥に奥にと進んでいく。
『まって!どこにいくの、アオバ!!』
アランは光を追いかけ走った。
夢の中なので疲れも苦しみもない。とにかく森の奥をひたすら走った。
突然、ばっと森を抜けた。
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薙刀桜餅(プロフ) - 飛燕さん» 10年後が楽しみですね笑更新お疲れ様です!ティラちゃんのお話は、気長にお待ちします!作者様の描きたい時に、描いていただくても大丈夫です!言い方がおかしくてすいません、これからも更新頑張ってください! (2017年8月18日 20時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» 10年後、アランの夢。アオバに理想のタイプ。兄ちゃんと言ってもらうこと(笑) (2017年8月18日 19時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 登場人物が増えると、どんどん面白くなっていきますよね!8話のアラン君がめっちゃかっこいいです!さすがお兄ちゃん! (2017年8月18日 15時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» ありがとうございます!ティラですか~。ちょうどアオバも登場したのでいいタイミングですね! (2017年8月18日 12時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - こんばんは!続編おめでとうございます!いきなりなのですが、ティラちゃんが巫女だった時の話が読んでみたいです!! (2017年8月17日 21時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
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