24話 ページ24
アランを相手に、どんな話をしていたのだろう。
シンドリアにいた頃のAは、前向きに生きてはいたが、どこか遠い目をすることがあった。
始めから、どこへでも飛んで行ける女だということは知っていた。
それでも笑う強い女だった。
『愛しています。』
今更ながら、あの書き置きの締めくくりが気になった。
愛?
「シンくん?どーしたの?」
返事が返ってこないのが不思議なのか。
怖がることもなく、キョトンとシンドバッドを見上げるアランと話がしたい。
なぜかアランを介してならば、Aの本心が聞こえるような気がした。
「Aがどんな話をしていたのか聞かせてくれないか」
「うん!いいよー!あ!でも、ぼく、はやくおうちにかえらないといけないの。」
手元にあるバケツには、コツコツと集めた貝が入っていた。
きっと昼飯に間に合うように帰れと言われているのだろう。
「ああ。そうだな。アランは何人家族だ?」
「うんと、いっぱい!ちょっとまえまで、すいぎゅーもいたんだよ!こんなにおっきくて、つのもこぉおおんななのに、ぼくさわれるようになったんだ!すごい?」
「ああ、すごい」
ごめんね。と、謝るアランの方がシンドバッドともっと話したがっているようにも見える。
「こんどいつくる?みんなこなくて、ぼくつまんない!」
「皆んな?」
誰のことだ?
「だ、誰!?」
突然、聞こえてきた第三者の声に、ビクッとシンドバッドの体が震えた。
顔を上げると、金髪の娘が、体を震わせている。
「あ!ハルだ!ハル〜!いっぱいとれたよ!!」
「アラン様!いけません!!」
「う??」
ブンブン元気よく手を振るアランとは対照的に、娘は真っ青な顔をしていた。
マズイ。
頭の中では警告がなっていた。
なのに、衝動が抑えきれない。
「お願い、誰か!誰か来てください!!侵入者です!!アラン様、ダメです!!離れてください!アラン様!!」
「しんにゅーしゃ??」
不思議そうに小首をかしげたアランを抱き上げる。
「やっ!!アラン様ぁあああ!!!」
女の絶叫が聞こえたが、構うことなく魔法陣に飛び込んだ。
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薙刀桜餅(プロフ) - 飛燕さん» 10年後が楽しみですね笑更新お疲れ様です!ティラちゃんのお話は、気長にお待ちします!作者様の描きたい時に、描いていただくても大丈夫です!言い方がおかしくてすいません、これからも更新頑張ってください! (2017年8月18日 20時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» 10年後、アランの夢。アオバに理想のタイプ。兄ちゃんと言ってもらうこと(笑) (2017年8月18日 19時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 登場人物が増えると、どんどん面白くなっていきますよね!8話のアラン君がめっちゃかっこいいです!さすがお兄ちゃん! (2017年8月18日 15時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» ありがとうございます!ティラですか~。ちょうどアオバも登場したのでいいタイミングですね! (2017年8月18日 12時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - こんばんは!続編おめでとうございます!いきなりなのですが、ティラちゃんが巫女だった時の話が読んでみたいです!! (2017年8月17日 21時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
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