15話 ページ15
「見つかったか」
「いえ。相手は本気のようですね。全く尻尾をつかませません」
「・・・シンドバッド・・・いや、シンドリア商会の力を持ってしても見つけられんのだ。当然といえば当然か。」
「相手は無効化能力者。魔法は意味をなさないでしょうからね。人海戦術が頼みの綱とは、忌々しくて腹が立ちますねぇ」
それに、今は対マグノシュタット戦に集中しなくてはならない時だ。
有能な人材を多く費やすことはできない。
「シンドバッドから逃げ回らなくてはならん事情とはなんだと思う」
「さて。なんせ、我々はこの1年、彼女の動向を全く知りませんからね」
セトから情報を聞き出し、一つだけ気になることがあった。
アルパ国が、攻撃を受けたと言うのだ。
『アルパ国を攻撃した者をA様は、『アル・サーメン』と呼んでいました』
それ自体はすぐに退けたらしいが、その事、精神を操られ、Aは力を暴走させたそうだ。
『A様が退位し、姿を消したのはそのすぐ後です。口に出されることはありませんでしたが、お気になさっていたんだと思います。』
「何故・・・」
自分たちの心情とは全くそぐわない、晴れ晴れとした空を苦々しい思いで紅炎は見上げた。
「兄王様?」
「いや。構うな。行け」
「失礼します」
何故、俺を頼らない。A
「・・・?」
なんだ?
見上げていた空に、パタパタと懸命に羽根を動かす白い物体が、こちらに向かってくるのが見えた。
古来から伝達に使われてきた方法だ。
今でも一般的に使われているが、城への通達ならば、遠隔透視魔法を利用するのが通例だ。
そんな事を考えているうちに、紅炎の目の前に白い鳩が楽々と着地した。
その足には間違いなく文がくくりつけられている。
何事だ?
従者から解いた文を手渡されると、早速それを開いた。
『お願い、探さないで。 A』
たったそれだけの内容を、紅炎は思わず
「紅炎様?何事かございましたか?」
「魔導士を呼べ」
「御意」
すぐに呼び出されたのは戦に出るような年ではない、女の魔導士だった。
年端はいかなくても、城に上がれるほどの力を持っているのだろう。
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薙刀桜餅(プロフ) - 飛燕さん» 10年後が楽しみですね笑更新お疲れ様です!ティラちゃんのお話は、気長にお待ちします!作者様の描きたい時に、描いていただくても大丈夫です!言い方がおかしくてすいません、これからも更新頑張ってください! (2017年8月18日 20時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» 10年後、アランの夢。アオバに理想のタイプ。兄ちゃんと言ってもらうこと(笑) (2017年8月18日 19時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 登場人物が増えると、どんどん面白くなっていきますよね!8話のアラン君がめっちゃかっこいいです!さすがお兄ちゃん! (2017年8月18日 15時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» ありがとうございます!ティラですか~。ちょうどアオバも登場したのでいいタイミングですね! (2017年8月18日 12時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - こんばんは!続編おめでとうございます!いきなりなのですが、ティラちゃんが巫女だった時の話が読んでみたいです!! (2017年8月17日 21時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
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