12話 ページ12
その嘘偽りない愛情が染み渡るほど切なかった。
その日を境に、章妃は床にふす時間が減り、徐々に笑顔が戻って行ったのだった。
「おや。紅輝が帰ってくるのかい」
アオバにお乳をやりながら、アイラは顔だけ振り返った。
「そりゃぁ、章妃も喜ぶだろうねぇ」
生まれたばかりの妹を可愛い可愛いとあまりにもアランが
そこで章妃は紅炎に頼み込み、この家までこっそりやってくるという
初めの頃は呆れかえっていた紅炎だったが、結局、嫁の頼みを断りきれず馬車の用意をした。
『まぁまぁまぁ!なんて愛らしいの!!』
アイラが年上であったことが幸いしたのか、細かいことは気にしない気性もあってのことか。
章妃はアイラと互いの夫の話や子育ての話で盛り上がり、いつでも使いをよこすから、自分の屋敷に遊びに来ないかとまで言ってきた。
そういうわけで、章妃とアイラは今では良い話し相手になっている。
「久しぶりに私もアオバを連れて遊びに行こうかねぇ」
「かあちゃんもいくのぉお?!!」
「アオバの機嫌もいいからね。時間を選べば大丈夫だろう」
「やった!やった!!かあちゃんとおでかけだ!!アオバ!おでかけだよ!!」
大はしゃぎのまま、アランは庭を見回した。
「ハル!どこぉ?ハル!!」
「はい。アラン様。お呼びでしょうか」
金色の髪と緑の目。
そう。
このハルこそ、かつてはヨガに仕え、紅輝によってアルガン島に連れてこられた娘だ。
『もっと早くに紹介しようと思っていたんだけど、アンナちゃんとアンジェちゃんをうちに
そう言われて連れてこられたのがハルだ。
ハルは笑わない。
ハルは話さない。
ハルは逆らわない。
扱いに困った一家は、ハルにこう『命令』を出した。
ハル、沢山食べて、よく寝て、よく働きなさい。
ハルは逆らわなかった。
与えられただけの食事をきちんと取り、決まった時間まで眠り続ける。やれと言われた仕事はきちんとこなす。
うーん。何か違う・・・。
そして、困った時のアラン頼みが始まった。
『きょーから、ハルはぼくのふたりめのこぶんね!』
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薙刀桜餅(プロフ) - 飛燕さん» 10年後が楽しみですね笑更新お疲れ様です!ティラちゃんのお話は、気長にお待ちします!作者様の描きたい時に、描いていただくても大丈夫です!言い方がおかしくてすいません、これからも更新頑張ってください! (2017年8月18日 20時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» 10年後、アランの夢。アオバに理想のタイプ。兄ちゃんと言ってもらうこと(笑) (2017年8月18日 19時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - 登場人物が増えると、どんどん面白くなっていきますよね!8話のアラン君がめっちゃかっこいいです!さすがお兄ちゃん! (2017年8月18日 15時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - 薙刀桜餅さん» ありがとうございます!ティラですか~。ちょうどアオバも登場したのでいいタイミングですね! (2017年8月18日 12時) (レス) id: 54f2f8f6b1 (このIDを非表示/違反報告)
薙刀桜餅(プロフ) - こんばんは!続編おめでとうございます!いきなりなのですが、ティラちゃんが巫女だった時の話が読んでみたいです!! (2017年8月17日 21時) (レス) id: 2c35b59c63 (このIDを非表示/違反報告)
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