73話 ページ23
飽きるほど寝ていたとも言えず、答えかねていると苦笑した紅炎が寝台の横を開けた。
「ほら」
「・・・やだ」
プイッと顔を背ける。
「反抗期か」
「今反抗しなかったら、いつ反抗するんだってくらい反抗期だよ!」
「つまらん事を言うな」
女を泣かせているというのに、紅炎はすこぶるご機嫌だ。
間違いなく、ろくでなしだ。
「人には引き際と言うものがある。俺にとっては今がそれだったと言うだけだ。笑って見送ってくれ」
「
男の勝手な美学なんか知ったことか。
「馬鹿・・・。ああ。誰かにも言われたと思えば、アランか」
アラン君?と首をかしげていると、紅炎はふっと笑った。
「こちらに移った頃か。アランが夢に出てきて、必ず助けるから諦めるな。と」
アラン君らしい。
確かに生きてさえいれば、そんなことも言ったかもしれない。
大切な人々の笑顔が1枚1枚
気を抜けば大声をあげて泣いてしまいそうで、震える唇とぎゅっと結んだ。
「お前にはコレットがいる。あとは頼んだぞ」
「うるさい。
ぎゅっと、
「・・・頼まれてやるから、キスして。」
Aは憎たらしい唇が近づいて来るのを、じっと待った。
翌日。
太陽が真上に近づく頃には皮肉なほど、晴れ渡った日だった。
風が強く、煌帝国旗が激しくたなびく。
大地を揺らすほどの、歓声、悲鳴、怒声。
あらゆる声を巻き込んで、紅炎は処刑場に姿を現した。
それを、バルバッドの自分の部屋で、アランは鏡で見ていた。
子供の
翠が慣れた様子で桃を剥き、ハルは僅かな時間を惜しむようにアランの側にピタリと付いていた。
やはり、自力では動けないのか、鏡の中の紅炎は引きずられているように見える。
「でてきた!」
勢いよく庭に駆け出したアランが行き先には、庭園で優雅なモーニングティータイムを過ごしているシャロットがいた。
当然のように多くの侍女にかしずかれ、青秀と楽禁が護衛についている。
「しゃろっと、こーえんくん、おそとにでてきたよ!」
シャロットも今日ばかりは煌帝国の服を着ていた。
中性的な面立ちのせいか、妙な色気がある。
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飛燕(プロフ) - しーちゃんさん» ありがとうございます。遂に第四章始まりました。宜しくお願いします! (2018年11月29日 6時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
しーちゃん(プロフ) - 飛燕さん» アランくん、本当にお疲れ様でした!!ゆっくり休んで下さいね(>_<)紅炎様は主人公とコレットと暮らせないんですか!?( ;∀;)シャロットの手伝いはいいと思うけど姿変えちゃったら、、、(..)続きがきになります。更新頑張って下さい!! (2018年11月21日 19時) (レス) id: d93e3097a1 (このIDを非表示/違反報告)
アカリ - 飛燕さん» 判りました!就活活動など頑張って下さい!! (2018年11月18日 9時) (携帯から) (レス) id: 5b0fbd2365 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アカリさん» 大変申し訳ありませんが、すぐにリクエストにはお応えできません。大変申し訳ありません (2018年11月18日 9時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
飛燕(プロフ) - アカリさん» お返事が遅くなってしまい申し訳ありません。文豪スレッドッグスは名前くらいしか知らず、加えて作者自身学生ではありますが、卒業試験や卒業作品展、就職活動など時間が取れにくい状況にあります。 (2018年11月18日 9時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
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