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240話 ページ9

途端、遠くの山頂が弾け飛ぶのが、目に飛び込んできた。

「きゃああああ!!」

あまり現実離れした光景に衛兵たちは立ち尽くし、逃げ遅れた女官がへたり込む。

『アシュタロス!!!』
『グエンツェン!!』

魔装した2人が、ダビデに立ち向かうが、防御壁(ぼうごそう)(はば)まれそれ以上切り込めない。

「虫が(やかま)しいぞ」

ぴん!と、ダビデが指先を弾くと鋭い衝撃波(しょうげきは)が2人の体を城の外へと弾き飛ばした。

「モラン!シャロット!!」

その勢いは止まらず、飛ばされたまま高度は下がっていく。
建物にぶつかると思った瞬間、突如(とつじょ)として現れた巨大な食虫植物が、(きば)のような(とげ)を持つ葉を広げ、2人の体を飲み込んだ。

「え・・・?え??」

植物に人間が飲み込まれるという非現実的な光景にAは思わずへたり込んだ。

なに、あれ・・・。

あれもダビデの・・・?

「間に合いましたね」

聞き覚えのある声に顔を上げると、息を切らした白龍が駆け付けたところだった。

と、言う事は!

勢いよく視線を戻すと、枯れた植物の中から2人が出て来るところだった。

「・・・あぁ、そっか。ザガン・・・。ありがとう」

思わずと言うか、全身の力が抜けた。

「いえ、大丈夫ですか?」

Aを支える手に思わず身震(みぶる)いした。
この手が夫を殺した。
Aが愛した男を奪った。
なのに、今は義妹を愛している。

「大丈夫。」

思いっきり吸った息を丁寧に吐き出した。
過去を持ち込み動揺している場合じゃない。

目の前の敵を下さなければ世界はない。

「でも、あんなもの、どうやって・・・」

魔装した2人が近付く事さえ叶わないのに。

「方法はあります」
「え?」
「俺の話など聞きたくないのは承知の上で、お願いします。協力していただけませんか」

誠実な瞳。
痛いほど強く握られた手。

振りほどく理由は何一つ無かった。




目を覚ましたシンドバッドの意識は混濁(こんだく)していて、自分がどうしてそこにいるのかよくわからなかった。

古ぼけた(あみ)から潮の匂いがする。

ここは・・・、俺の家。

今にも壊れそうな玄関のドアを開けると、長い黒髪をした母が台所いた。
グツグツに煮立つ鍋を木ベラで混ぜると、懐かしい香りが鼻をくすぐる。

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飛燕(プロフ) - わわさん» ありがとうございます。最終章の続きはスピンオフシリーズ4の『星を抱くもの』になっています。よろしくお願いします (2021年11月6日 8時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
わわ - めっちゃ好きです!!ありがとうございます!! (2021年11月6日 0時) (レス) id: 3f77deffba (このIDを非表示/違反報告)
Haruhi(プロフ) - 初コメント失礼します、最初のシリーズからずっと読ませていただいてて、本当に世界観に引き込まれる素晴らしい作品です!マギの原作と同じくらいハラハラドキドキしながら楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています(^^) (2020年4月30日 14時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年12月14日 7時

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