6話 ページ50
やっぱりあれは夢だったんだ。
ほっとしたカリッアだったが、心のどこかで疑問が残る。
「嵐は過ぎたぞ。ほら、起きろよ」
「うん」
喉が乾く。
言葉が張り付く。
知らないふりをすればいい。
見なかった事にすれば……
「き、昨日。どこに行ってたの?」
「どこ??ずっと部屋にいたけど?」
きょとんとする流星の様子に、ようやく心が落ち着き出す。
「そっか!ゴメン、ゴメン!俺の勘違い!最近、変な夢ばかり視るからきっとそのせいだ!」
「夢?」
「小さい男の子が必ず出てくる夢でさ〜!」
あはは!と笑っていると、かち合ったのは信じられないものを見るような、硬直した流星。
それを見た瞬間、何かが繋がった。
「………『アラン』って誰?」
気持ち悪い!
気持ち悪い!!
俺は一体なんなんだ!
体に染み付いたように流れてくる他人の記憶。
記憶?
え?記憶って?
俺は…、どうしてそう思ったんだ?
「待て!待てよ!!カリッア!話を聞け!」
「うるさい!うるさい、うるさい、うるさい!!来るな!」
追いかけてくる流星を振り払おうとしたカリッアの前に、何かが降り立った。
「止まりなさい、アルバ」
「うわっ!なっ……!なに??」
女だ。
多分。
上半身は女。
けれど、巻き角があるし、下半身は明らかに獣のそれだ。
ば、バケモノ!!
「来てたのか、ハル」
「ええ」
怯えるカリッアに構わず、流星はハルと言う女に話しかけた。
「なに??一体なんだって言うんだよ!あっち行けよ!バケモ……!!」
『ダメだよ。アルバ』
え………?
小さい男の子の声だ。
周囲を見回してもそんな子供はいないのに、ハッキリと声は聞こえた。
ゾッと全身が凍りつく。
「うわぁあ!だ、誰だ!流星!今子供の声がした……!本当に聞こえたんだ!」
むしろ、当然と言う様子だ。
「アランの目覚めが近い。その影響を真っ先に受けたのがお前だったんだ」
またアランだ。
「アランって誰」
「我々の王」
ハルは言い切った。
戸惑いの眼差しに流星はしっかり頷く。
「カリッア、以前のお前の名をアルバと言う。10年前、ダビデとの戦いで死んだお前に、アランは自分の肉体を与え、新たな使命を与えた」
「使命…?」
「王の『目』となり、世界の行く末を見届ける者」
「は…?はぁああ??な、何を言って…。そんな神様みたいなこと出来るわけ……」
いる。
たった一人。
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飛燕(プロフ) - わわさん» ありがとうございます。最終章の続きはスピンオフシリーズ4の『星を抱くもの』になっています。よろしくお願いします (2021年11月6日 8時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
わわ - めっちゃ好きです!!ありがとうございます!! (2021年11月6日 0時) (レス) id: 3f77deffba (このIDを非表示/違反報告)
Haruhi(プロフ) - 初コメント失礼します、最初のシリーズからずっと読ませていただいてて、本当に世界観に引き込まれる素晴らしい作品です!マギの原作と同じくらいハラハラドキドキしながら楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています(^^) (2020年4月30日 14時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
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