257話 ページ26
シンドバッドの精神は、アランが保護できる。
問題は、シンドバッドをどうやって復活させるかだ。
そこで、1つの提案があがった。
ムー・アレキウスのジン、バルバドスだ。
以前、レームの最高司祭だったシェヘラザードが自分の分身を作っていた。その方法を使えないか、と言うものだ。
やってみる価値はあると判断してからは早かった。
「ふふ。サービスでちょっと若返らせておいたよ。どお?嬉しい?」
悪巧みが成功した笑いを堪え切れないユナンにシンドバッドがイラッとしたように顔をしかめた。
「で?どうだよ。動けるか?」
「ああ」
指を閉じたり開いたりしたシンドバッドは起き上がろうとしたが、背中に鈍い痛みが走った。
「無理はしない。今まで1度も動いたことがない肉体なんだ。すぐには以前のように動けないよ」
不自由な動きのシンドバッドを見るユナンはすこぶる楽しげだ。
「
「ああ、それなら…」
「シンドバッド様!シンドバッド様!!」
現れた女…ヤムライハは目にいっぱいの涙を浮かべ、勢いよくシンドバッドに抱き付いた。
「ぐえ!」
「よかった〜!シンドバッドさまぁあああ!」
「ねぇねぇ、
実験動物を物色するごとくヤムライハのチェックを受けたシンドバッドは、始めての白湯を体の中に入れた。
全身に染み入るようなその感覚に、シンドバッドは生きているという感動を実感した。
「さて、僕は先にアルパに行こうかな。一人でも多くの手助けが必要な時だろうからね」
中性的なマギはにこりと微笑み、帽子に手をあてた。
「君はどうする?」
「俺はまだここでやることがある」
それが何がとは流星は言わなかったが、ユナンは「それもいい」と言い残し姿を消した。
綱渡りをしているようだと流星は思う。
ジン達が練った計画は繊細過ぎて1つでも欠ければ、すぐに壊れる。
アランはアランの仕事をこなし、流星にバトンは渡された。
シンドバッドの肉体は間に合い、無事目を覚ました。
もう、シンドバッドに問題はない。
次だ。
もうひとつ流星には大事な仕事が残っている。
始めて歩みを覚えた子供のようにシンドバッドが全身を震わせながら、歩き始めようとしているのを見ながら流星はその時を待った。
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飛燕(プロフ) - わわさん» ありがとうございます。最終章の続きはスピンオフシリーズ4の『星を抱くもの』になっています。よろしくお願いします (2021年11月6日 8時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
わわ - めっちゃ好きです!!ありがとうございます!! (2021年11月6日 0時) (レス) id: 3f77deffba (このIDを非表示/違反報告)
Haruhi(プロフ) - 初コメント失礼します、最初のシリーズからずっと読ませていただいてて、本当に世界観に引き込まれる素晴らしい作品です!マギの原作と同じくらいハラハラドキドキしながら楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています(^^) (2020年4月30日 14時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
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