検索窓
今日:5 hit、昨日:5 hit、合計:13,737 hit

234話 ページ3

何が起こっているのかなどわかるはずもない。
けれど、この日の父の背中を生涯忘れたことはないと、コレットは語った。

「殺しますか?」
「貴方は引っ込んでいろ。邪魔だ」

アルバ存在をあっさり言い捨てたシャロットの視線の先にはシンドバッドしか居ない。

「ここはアルパ。戦ない国です。剣を下げてください。そのようなものはこの国に相応しくない」


それは、シャロットの誇りであり、歴代のアルパ国王の誇りだった。
絶対に戦だけは起こさない。

「シンドバッド様。貴方はこの世界の支配者となられた。その貴方が何故、そこまで己を(おとし)めます」

昨日、シンドバッドは夢を語った。
これまでにはなかった、新しい世界を。

「貴方にはわからない」
「ええ、僕は貴方ではない。わかるはずはない。ですから、尋ねているのですよ。何故ですか?と」

シンドバッドの瞳が暗く鈍る。

「セレンは・・・。死んだ」

噛みしめるような言葉だった。

「はい」
「あんな死に方をしていい女じゃなかった」
「わかります。万が一、Aが理不尽な死を()げたなら、僕は神を恨むでしょう。」

背中でAが息を飲んだのがわかったがシャロットは振り返らなかった。
今、シンドバッドから気をそらしたら元の木阿弥(もくあみ)だ。

「いえ、その前に狂ってしまうかもしれない。世界中どこを探しても彼女がいないなんて、僕にとってなにより恐ろしい」
「だが・・・、アランなら。アランが力を使ってくれれば、セレンは戻って来てくれる。もう1度・・・」

そこまで話を聞いて、シャロットは重要な事を聞いていなかったことを思い出した。
そう。
最も大事なことだ。

「1つお尋ねしますが、セレンディーネ姫の死因は?」
「セレンディーネ・・・は」

頭を抱え、歯をくいしばるその様子は、病気や事故の類ではないのだろうという憶測(おくそく)が出来た。
もっと悲惨(ひさん)でシンドバッドを後悔の殻に閉じ込めてしまうほどの最後だったはずだ。

「シンドバッド様!」

シンドバッドを守るように体を支えたアルバの笑みはどういう意味か、シャロットにはわからない・・・が、ひょっとしたらと言う憶測を呼ぶ。

「ごちゃごちゃと、よく回る口だこと」

セレンディーネの最後が万が一、アルバ。もしくは、イル・イラーに関わるものだとしたら。

235話→←233話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 8.5/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
49人がお気に入り
設定タグ:マギ , 練紅炎
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

飛燕(プロフ) - わわさん» ありがとうございます。最終章の続きはスピンオフシリーズ4の『星を抱くもの』になっています。よろしくお願いします (2021年11月6日 8時) (レス) id: 0f92dbd5b0 (このIDを非表示/違反報告)
わわ - めっちゃ好きです!!ありがとうございます!! (2021年11月6日 0時) (レス) id: 3f77deffba (このIDを非表示/違反報告)
Haruhi(プロフ) - 初コメント失礼します、最初のシリーズからずっと読ませていただいてて、本当に世界観に引き込まれる素晴らしい作品です!マギの原作と同じくらいハラハラドキドキしながら楽しませてもらっています!これからも楽しみにしています(^^) (2020年4月30日 14時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:飛燕 | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2019年12月14日 7時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。